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かつて栄華を極めた古代文明グローバス。
その文明を復活させ、世界征服に利用しようともくろむ悪の大魔導師オズワルドがいた。
彼は魔術で魔物を生み出すと、世界を征服し始めた。そして、ついに無敵を誇るゴート騎士団をも打ち破り、もはや世界はオズワルドのものかと思われたときだった。

一人の少女が不思議な光を発した!

彼女の名前はソフィア。
ゴート騎士団の総督だった彼女の父は壮絶な死を遂げた。また母もオズワルドによってソフィアの目の前で殺され、怒りと悲しみから、彼女の中に潜んでいた不思議な力がいっきに爆発したのだ。
この強烈な光は、魔物ともどもオズワルドを世界の果てへと吹き飛ばした。
世界は、魔導の血を引く少女によって救われたかに見えたのだが……。



──それから十年の時が流れた。
なんとオズワルドは、驚くべきエネルギーをもって、世界の果てから復活していた。そして、さらなる魔力を秘めた彼は、グローバス復活の鍵である水晶を求めて、再び進軍を開始したのである。ソフィアはゴート騎士団の団長であるスレイのもとに引き取られ、王都ゴートで宮廷魔術師として成長していた。だが、もはや彼女一人ではさらなる魔力を秘めたオズワルドに立ち向かうことはとうてい不可能だった。
人なみ以上の勇気と力を備えた者の協力が必要なのだ。
そんなとき、勇者の血を引く少年がチベリスにいると聞いたソフィアは、モンスターに命を狙われながらもチベリスにたどり着き、司祭様から一人の少年を紹介された。彼こそ、王族の血を引く、すなわち勇者の血を引く少年アルバートだったのだ。

そして今、アルバートとソフィア、そして僧侶としての修行を積むために同行することになったノイマンの3人が、オズワルドの野望を阻止するため、冒険の旅に出る。

グローバス復活の鍵である水晶とはどこにあるのか、封印を解く鍵とは何か、そして、はたしてオズワルドを倒すことができるのか。アルバートたちの使命は、限りなく果てしない……。



【神々の遺産 古代魔法文明"グローバス"】
いまの世界が大いなる意志である"創造者"によって創造されるまで、ただ混沌とした空間しか存在していませんでした。
やがて、創造者が永い時をかけて1本の巨大な世界樹を創り、その樹から伸びた根が大地に根を下ろすと、生命力や魔力などのあらゆる力が満ちあふれ、一面に緑が広がりました。創造者は、この魔力あふれる緑の大地を約束の地とし"グローバス"と名付けました。そして、このグローバスを中心にさらに空間を広げ、グローバスの土で宇宙を構成したのです。また創造者は、善と創造を司る"光の神"と邪悪と破壊を司る"闇の女神"という、己の意志を具現化した二神を創り出し、このグローバスの統治を任せることにしました。
光の神はあらゆる生き物を創り、すべての生き物の誕生を促しました。一方、闇の女神は光の神が創り出した生き物に次々と暗黒面を植え付け、破壊を促しました。ところがその結果、生き物は光と闇の二面性を持つことになり、互いに争いだしたのです。光の神は、争いからは何も生み出されず、またこの生き物たちに真の光がないことを知ると、闇の女神とともに中立神を創造し、生き物の統治を任せることにしました。
中立神は、グローバスの魔力がもれるのを防ぐため結界を張り(それは結果的にグローバスを外界から隔離することになりました)、またグローバスを永劫の楽園に導く人間を創り出し(すなわちグローバス王です)、さらには魔力を利用するための‘魔導’を授けました。グローバス王は、中立神の命を受けてグローバスの統治を任されると、グローバスのだれもが魔導の力を使って生活できるようにしました。
こうして生まれた独自の魔法文明が、後に‘古代魔法文明グローバス’と呼ばれるようになったのです。

【グローバス王 破滅への序曲】
三百年ほど昔、グローバスの海岸に1人の美しい若者が流れ着きました。その若者の体には、グローバスの人々が見たことのない"光り輝く命のない塊"に包まれており、瀕死の状態でした。けれども人々は、この魂を心惑わす"邪心の化身"と恐れ、助けようとはしませんでした。そこへグローバス王の娘ネッサが現れ、若者の姿をひと目見るとすぐに彼を助け起こしました。彼女は、自分の魔導がこの海岸に引き寄せられるので、不思議に思ってやって来たのです。若者は、ネッサの魔導の力でしだいに体力を回復し、意識を取り戻しました。
そしてネッサが魔導の力で若者の心に話しかけると、若者は目の前にいる美しい娘が持つ不思議な力に驚きながらも、自分はレアンディール共和国の騎士"ゴート"という者であり、航海中に船が座礁したために遭難したことを話しました。ネッサは彼が外界の人間であることを知りましたが、傷が治るまで看護することにしました。ゴートはネッサから手厚い看護を受けながらグローバスについて学びました。そしてグローバスすべての人々が魔導の力を使って生活をしていることを知ると、とても興味を覚えました。実は、ゴート自身は特別な能力を持つ人間だったのですが、レアンディール共和国では彼の他に、そのような力を持つ者はほとんどいなかったからです。もちろん彼は、自分の能力のことはネッサにも黙っていました…。
それから数日たって、ゴートはグローバス王と会うことになりました。外界から迷い込んできた"光り輝く命のない塊"に包まれたゴートの噂は、あっというまにグローバス中に広まり、グローバス王としても見過ごすわけにはいかなかったからです。王はゴートの鋼の鎧と剣を見て驚愕しました。そして、この魔力のない塊が外界での"人を殺すための道具"であることを知ると、王はその威力を試そうと、魔導の力で造った植物を鋼の剣で傷をつけ、その切り口を蘇生させようとしました。ところが、魔導の力ではその傷をふさぐことはできなかったのです。王はたいへん鋼に興味を持ち、これこそ偉大なグローバス王にふさわしいものではないかと考えました。そして鋼の剣と鎧を譲ってくれるよう頼みましたが、ゴートは丁重に、けれどもきっぱりと断りました。それでも鋼の魅力にとりつかれてしまった王は、なかなか引き下がろうとはしません。そこでゴートは代わりのものを探す手助けをすることを約束したのです。
翌日、グローバス王とゴートはレグネス山へ行き、王の魔導の力で大地を掘り起こし、水晶の結晶を見つけ出しました。ゴートはグローバス王に、水晶には魔力があり祖国の魔術師はこれを加工して水晶玉にして用いていると教えたのです。王はさっそく魔導の力を使って水晶玉を造り始めました。やがて渾身の力を込めてできあがった水晶玉からは、すさまじい光がほとばしり出ていました。ついにグローバス王は絶対の力を手に入れてしまったのです。
それからの王は水晶玉に潜む魔導の力に操られ、人が変わったかのように人々を襲ってはさらなる魔導の力を吸収していきました。王女ネッサは、人々のために父グローバス王を打ち倒さなければならなくなりました。そして、ゴートも責任を感じて、対グローバス部隊の中心となって戦うことを決意したのです。
こうしてグローバスとゴートとの戦いが始まりました。

【グローバスからゴート王国へ 新たなる時代の幕開け】
水晶玉によって絶対の力を手に入れたグローバス王は、やがて外の世界に興味を持ち始めます。そして、水晶の魔力でグローバスに張りめぐらせてあった強力な結界を破り、外界への進軍を開始しようとしたのです。そんなグローバス王の動きを知ったネッサたちは、力のある魔導師を集めて進軍を阻止しようとしました。戦いは三日三晩続き、ネッサたちはついにグローバス王を神殿へと追い詰めます。そしてネッサたちの魔導の力で体に結界を張りめぐらせたゴートが、グローバス王に突撃していったのです。彼の鋼の剣は王の体をつらぬき、一撃のもとに倒したかのように見えました。
ところが、しばらくするとグローバス王はよみがえり、再び強力な魔法でこちらに攻撃してきたのです。驚いたゴートはなおもゴートに斬りつけましたが、グローバス王はそのたびによみがえってきます。その様子を見ていたネッサは、王の魂が水晶に封じ込められているため、抜け殻だけのその体にいくらダメージを与えても無駄だということに気付きました。そしてグローバス王を倒すには水晶玉を奪い、その間に攻撃するしかないとゴートに告げたのです。ゴートはついに自分の特別な能力を使うことを決意しました。彼は精神統一により神獣の霊気を呼び降ろし、己の体を霊獣へと変化させる能力を持っていたのです。ゴートは精神を研ぎすまし、神獣の霊気を降ろしました。すると彼の体は青白く光る霊気に包まれ、巨大な獅子へと変化していったのです。そして王に飛びかかると、その一撃は水晶玉を吹き飛ばし、王の息の根をも止めていました。
ついにグローバス王を倒したネッサとゴートは、吹き飛ばされた水晶玉を見つけ出し、王が復活して二度とこの惨劇を起こさないよう、またこの強大な魔力が魔導の力を持つ者によって悪用されないよう、王の体と水晶玉(これはある細工を施したうえで)とを別々の大地に封印することにしました。
その後、ネッサとゴートはグローバス王亡き後の内乱を鎮めるために結婚し新王、新女王となりました。そしてゴートは、外界との結界が破れたのを機に、祖国レアンディールに助力を仰ぎ、騎士団を預かりそれを"ゴート騎士団"と名付けました。またグローバスの民に魔導の力だけに頼らず、自分の体を使って生活する術を広めたり、他国の優れた文化を次々に取り入れていきました。こうしてグローバスは新王国"ゴート王国"として生まれ変わっていったのです。

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