社長が訊く
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社長が訊く『スーパーマリオ 3Dワールド』

社長が訊く『スーパーマリオ 3Dワールド』

目次

7. 3Dマリオの集大成

岩田

小泉さん、あえてお訊きしますが、
「据置機のマリオは『マリオギャラクシー』のほうがいい」
という方には、なんと答えますか?

小泉

そうですね・・・。
まずは「ありがとうございます」ですよね。

岩田

もちろんありがたいことですよね。
自分のチームでつくったわけですから(笑)。

小泉

あの、直接の答えには
ならないかもしれないんですけど、
自分的に、『マリオギャラクシー』をつくったときの
心残りがいくつかあって、
今回の『3Dワールド』では、
それを叶えることができたと思ってるんです。

小泉03

岩田

心残り、ですか?

小泉

ひとつは『マリオ64』までさかのぼるんですが、
最初のプロトタイプをつくったとき、
平べったい地形に、マリオとルイージがいたんです。

岩田

2人いたんですね。

小泉

はい。それで動かしていたんですけど、
地形をつくるときに
当時のハードの処理能力の限界から、
「ルイージを残すか、地形をつくり込むか」
という選択になって・・・。
その時、泣く泣くルイージに
退場いただいた経緯があるんですね。

岩田

ああ、そうだったんですね。

小泉

その時、宮本さんとは
「いつか3Dマリオでマルチプレイをやるとき
 ルイージも一緒に出そう」
という話をしていて、
それを15年ぐらい、ずっと思っていたんですね。

岩田

はい。

小泉

その後ルイージは『マリオギャラクシー』でも
登場してはいるんですが、
お兄ちゃんと一緒に駆け回るというより
ちょっと軸がちがう扱いになってしまって。
それが今回ようやく、マリオと同じコースに立って、
「ルイージいいじゃん」って
言ってもらえるようなキャラクターができて。
それがすごくよかったなあと思っています。

岩田

3Dマリオで、ルイージをマリオと
絡ませてやりたかったんですね。

小泉

はい。もうひとつは『マリオギャラクシー』シリーズの
反省でもあるんですが、
あの青い宇宙のビジュアルイメージや
タイトルから受ける印象は、
結果的に男の子を向いていたものに、
なっていたと思うんですね。
身近、たとえばうちの妻にも
気軽に手に取って遊んでもらうためには、
やっぱりマリオ以外にも選びたくなる
キャラクターが必要だと感じていたんですね。
それで今回、ピーチ姫を迎えて、
女の子キャラクターで遊べるようにできたことで、
自分の中で欠けていたピースを
埋められたような、気持ちがあるんです。

岩田

長年の胸のつかえがとれた感じですか?

小泉

はい、そこで宮本さんから
「新しい3Dマリオの完成型」と
言っていただけるのはすごくありがたくて。

岩田

つくってる側としては、
すべてつながっている、同じものなんですよね。

小泉

そうですね。『マリオギャラクシー』で培った
テクノロジーは活かされていますし、
そこから生まれたロゼッタやキノピオ隊長といった
顔ぶれも新たな活躍を見せてくれますし。
より多くの人に遊んでもらうために、
そのための軸を選んだ形が『3Dワールド』なので、
それは、僕自身でも、これが3Dマリオの
現時点での集大成だと思っています。

岩田

はい。

宮本

ファンの方に誤解なきよう伝えたいのは、
『マリオギャラクシー』を今後つくらない、
というわけではないんです。

小泉

そうですね。
今回『3Dワールド』をつくりはじめるとき
最初に宮本さんから、
「『ギャラクシー』系なの? 『3Dランド』系なの?」
って聞かれたんですけど、
僕たちとしては『3Dランド』をつくる時点で
いまの形を見据えていたので、
そこを迷いなくつくってきた流れなわけです。

宮本

同じチームで両方同時にはつくれないですからね。
セカンドパーティに協力をお願いして、
『マリオギャラクシー』のお題だけで
発注するわけにはいきませんから。
もちろん東京で両方つくれればいいんですけど、
新しいこともやりたいので、
そこの悩みはありますけどね。

岩田

まあ、ユニークで自由度の高いことと、
わかりやすさというのは、
つねにてんびんにかけられているわけで。

宮本

僕自身は『マリオギャラクシー』はもっと
いろんなことにチャレンジしていく流れで、
2Dマリオはある程度の制限の中で
わかりやすく工夫されるものという住み分けで、
続けていきたいと思っています。

岩田

どちらにしても『マリオギャラクシー』ファンから見て
今回の『3Dワールド』が別物で、
楽しめないかというと、
そんなことはぜんぜんないですからね。

では最後に、
みなさんからお客様にメッセージをお願いします。
まずは元倉さんから。

元倉

今回は本当に、
多くのスタッフのアイデアを詰め込みました。
いろいろなお客さんに遊んでいただけるように、
ネコマリオのアクションや、
新しいコースセレクトなどにも
自由度を持たせてあります。
誰もが楽しめる3Dマリオですし、
『3Dランド』が好きな人にも
『マリオギャラクシー』が好きな人にも
ぜったい楽しめる内容になってると思いますので。
ぜひ、手に取っていただきたいなと思います。

元倉05

岩田

はい。林田さん。

林田

はい。僕が言いたいことは
元倉さんとほぼ同じなんですけど、
つくってる最中から、
「なんか八方美人だね」って、言ってたんです。
いろんな角度から見たら
それぞれ別の顔があるような感じで。

林田05

岩田

八方美人って一般的には
悪い意味なんですけど、逆に
「いい意味でとらえてもらえる八方美人」
ということなんですかね。

林田

本当に間口は広く、でも奥深くて、
何度でも遊べる内容になったと思います。
あとひとつだけ、今回はサウンドを一新して、
ビッグバンド編成(※25)の生演奏や
バリエーション豊かに、尺八や三味線といった
ちょっと変わった楽器の演奏
も取り入れています。
日本の超一流のミュージシャンが集まった
ぜいたくな生音をゲームに使っていますので、
ぜひ注目してもらえればと思います。
ちなみに、クラブニンテンドー(※26)
全77曲入りのサウンドトラックの
優待交換キャンペーンも行いますので、
ぜひご興味のある方は聴いていただきたいです。

※25
ビッグバンド編成=トランペット、トロンボーン、サックス、ドラムなどの楽器を、大人数の編成で演奏するジャズの一形式。
※26
クラブニンテンドー=日本では2003年からはじまった、任天堂の無料の会員制ポイントサービスのこと。対象のゲームソフトやゲーム機を購入し、シリアルナンバーをインターネットで登録したり、プレイ後、アンケートに回答するとポイントが加算され、ポイント数に応じて非売品のオリジナルグッズと交換ができる。

岩田

はい。小泉さん。

小泉

さっき「胸のつかえがとれた」という
話をしましたけど、『3Dランド』から
「遊ばれているお客さんが目に見えて変わった」
という声もいただいているんです。

小泉04

岩田

「3Dマリオはわたしはだめ」
という方は、減っていますよね、確実に。

小泉

はい。今回その方たちに
さらにもう一歩進んでもらうために
豊かなネタも含めた遊びを用意しましたので、
ぜひ遊んでみてもらえればと思います。
何よりいちばん大きいことは、
キャラクターの選択性や王道感が増して、
「そばにいる人に声をかけやすくなった」
ことだと思うんですよ。
『マリオギャラクシー』シリーズでも
アシストプレイ(※27)などはできたんですが、
今回はもっと直接的に一緒に楽しめます。

※27
アシストプレイ=Wiiリモコンを使い、マリオを操作するプレイヤーに協力ができるシステム。

岩田

「まざってもらおう」みたいな感じですね。

小泉

同じ場面で同じ感覚で遊べるツールとして
気軽にさわってもらえたらうれしいです。

岩田

はい。最後に宮本さん。

宮本

楽しいことがたくさん詰まっているので、
毎日電源を入れて遊んでもらえたらいいなあと。
Wii U GamePadでのプレイは、
ひざの上に置くとか、楽なスタイルで
試してもらったらうれしいですね。
3Dマリオならではの楽しさを、味わってください。

宮本04

岩田

密度と、物量と、一つひとつのリッチさ。
そういう部分では
「このチームにしかつくれないものができたな」と
強く感じています。
従来から3Dマリオが好きだった人も、
3Dマリオはそんなに遊んでないけれど
映像などをご覧になって興味を持たれた方にも、
必ず楽しんでもらえると思います。

いろんな人に、いろんな形で用意されていて、
そういう意味では
「よくここまでおもてなしを詰め込めたなあ」
とも、思っています。
いろんな角度でそれを味わって、
いろんな発見を、ぜひMiiverseで
自慢していただきたいですね。

岩田03

宮本

ハンコもぜひ、活用してみてください。

岩田

はい。ありがとうございました。

一同

ありがとうございました。