社長が訊く
IWATA ASKS

社長が訊く『Wii U』

シリーズ一覧

社長が訊く『Wii U』

Nintendo TVii篇

目次

2. 手元で見るリッチな番組表

岩田

では、ここから日本での『Nintendo TVii』について
訊いていこうと思います。
 
まず最初に、『Nintendo TVii』には
電子番組表としての側面がありますけど、
そもそも、電子番組表を見るだけなら、
テレビのリモコンの番組表ボタンを押せば
最近のテレビではほとんど番組表が出せますよね?
そういうテレビをお持ちのご家庭にとって、
『Nintendo TVii』はどういう価値をアピールできますか?

神川

まず、Wii U GamePadでの番組表閲覧は、
タッチスクリーンで操作できることや
画面が手元にあるので、
閲覧しやすさがかなり違うと思います。
「テレビをつけていないときでも
 手元にWii U GamePadがあれば使える」ことも、
「テレビ視聴中でも、
 視聴を損なわずに番組表を閲覧できる」ことも
大きな利点だと思います。

岩田

ああ、たしかに、「番組表を調べるときに
いま見ている番組が見えなくなってしまうことがない」
というのは、けっこう大きなメリットですね。

織田

そもそも、テレビに映す電子番組表は、
かなり大きなテレビでも、近づかなければ見づらいですよね。
実際に使ってみると、番組表が手元にある安心感と
読みやすさはこれまでにないものだと感じます。

岩田

わたしは近眼なので、いつも、
番組表を表示してからテレビに近づいていって、
「自分は、何してるんだろう?」って思っていたんです。
そういう悩みが解決ですね(笑)。

織田

Wii U GamePadで番組表の文字が見やすいように
特別なフォントを用意する工夫もしています。
また、多くのテレビ視聴者の方々が
「これからどの番組を見ようか」ということを
約2~3時間後の範囲内で決定しているという
行動マーケティングのデータを元に、
2時間の範囲が見やすいように番組表をデザインしています。

岩田

それともうひとつ、
テレビのリモコンでの文字入力って、
なかなか厳しいじゃないですか。
サーチができる番組表もありますけど、
「テレビのリモコンでは
 なかなか文字を入力する気になれないなぁ」って
ずっと思っていたんです。

織田

そこはキーボードのような入力もできますし、
手書きでもいけます。
誰でも簡単に使えるように、
いろんな入力スタイルを用意しました。
単純に番組を探すだけであれば、
タッチして選ぶだけで探せる方法もあります。
 
あと、『Nintendo TVii』には、
番組データを提供してくださっている、
われわれのパートナーのIPG(※9)さんから
通常の番組表に掲載されている番組の文字情報以外にも、
番組ロゴや、その週のハイライトシーン画像、
顔写真付きの出演者リストやプロフィール、
その番組の公式サイトへのリンクなど
さまざまな情報を提供いただいていて、
おそらくほかの番組表と比較しても、
非常にリッチで、見がいのあるものになっています。

※9
IPG=株式会社インタラクティブ・プログラム・ガイド。日本の放送局の公式番組情報を一手に集約し、電子番組表(EPG)サービスの提供に関する日本最大手の会社。

岩田

わたしも、IPGさんが
あれほどのデータを配信されていたというのを、
『Nintendo TVii』をさわって初めて知りました。
テレビの電子番組表で見られる情報は、日本では
ほとんどすべてIPGさんが配信されているんですが、
これまで見ていたものは、
IPGさんがお持ちのデータの一部に過ぎなかったんですね。

織田

実際IPGさん自体も、
「フルデータを使ってもらったのは初めてです」
ということをおっしゃっていました。

神川

ゴールデンタイムなどは、かなり画像が充実していて
見ていて楽しいものになっていると思います。
IPGさんのおかげで、
VIPタイムズ社さんの日本タレント名鑑とも
データベース連係をしていて、
番組出演者のプロフィールや画像、
出演予定番組を見ることもできます。
残念ながら、一部のタレントさんは
事務所の方針で画像などの提供が難しいそうで、
出演者のプロフィールや画像がない場合もあるんですけど。

織田

単純に、いろんな番組情報を見ているだけでも
テレビの世界を俯瞰(ふかん)できるようになって本当に楽しいです。
 
ほかにも、検索機能が大変充実していて、
ジャンルからの番組探しや、
タレントさんやキーワードだけでも検索ができますので、
いろんな番組や出演者を探すことが手軽に行えます。

岩田

ところで、『Nintendo TVii』では、地デジ・BSに加えて
CS放送もサポートしましたけど、
これは、最初から予定されていたことだったんですか?

織田

CS放送への対応は企画当初から課題にあがっていました。
 
日本では地デジが全体の85%もの視聴を占めていますし、
「BSはまだしもCSは含めなくてよいのでは?」
との声が、関係者の間でも多かったんです。
ただ、多くの方が気づいておられないだけで、
CS放送にも大変魅力的なテレビコンテンツが取り揃っていて、
「見逃されてしまうことがとてももったいない」と感じていました。
『Nintendo TVii』では、なんとかCS番組も含めて
楽しんでいただけるようにできないかと考えていました。

岩田

CS放送を含めると、チャンネルが一気に増えますから
処理に問題は出たりしませんでしたか?

神川

チャンネルが多くなると
計算処理やサーバーとの通信量が増えるので、
クライアントプログラム的には厳しい面がありました。
最終的には納得のいくパフォーマンスを実現できたと思います。

織田

番組表に、地デジ・BS・CSを垣根なく表示することにも
チャレンジしてみたのですが、
さすがに同時に表示するデータが多すぎて
表示処理の限界を超えてしまい、
今回は実現できませんでした。せめて、
「放送中の番組だけでも、地デジ・BS・CSが
 シームレスにチェックできないか」という想いから
「放送中」という画面を用意したのですが、
これによって、BSやCSの番組にも目がいくようになり、
新しい番組の発見が、切り替えの手間なくできるようになりました。
 
開発スタッフの中には、
「CSの面白そうな番組を
 たくさん発見したので加入したい気持ちになった」
との感想もあり、たしかな感触を得ています。

岩田

これは、本当は自分が見てみたい番組が放送されていたのに、
今までは、それに気づく手段がなかったということですよね。