社長が訊く
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社長が訊く『Wii U』

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社長が訊く『Wii U』

Nintendo TVii篇

目次

4. 人生が豊かになるきっかけに

岩田

神川さん、任天堂はある意味、
チームラボさんのようなウェブ専門の会社と
今回のようにガッチリ組んで
何かをつくるのはほぼ初めてなんですが、
それを経験して何か感じたことはありましたか?

神川

そうですね、やはり近しいようですけれど、
「分野が違うと、文化が違うんだな」
と感じたところはけっこうありますね。
たとえば任天堂から
「スクロールさせる時には
 30フレーム(※13)以下にはならないように」
という依頼をするわけですが、先方には
そもそもフレームという概念がないんです。

※13
30フレーム=1秒あたり、30コマの画像を使って描画が行われること。

岩田

「30フレームってなんですか?」から
はじまるわけですね。

神川

そうなんです。

岩田

スクロールの時にカクカクとなるか、
スーッと動くかは、われわれにとっては
もっとも重要なポイントのひとつですから、
そこはまさに文化の違いですね。
でも一方で、チームラボさんには
任天堂のゲームをお好きな方が中心におられるので、
そういう意味では、けっこう柔軟に理解してくださる姿勢を
持たれていたのではないですか?

織田

そのとおりです。
チームラボさんは非常にクリエイティブで、
志の高い方、個性的な方々が多くいらっしゃいます。
モチベーションも高くて、
「任天堂と一体になってやり抜こう」という
気概を感じるところはありますね。
普通であれば、やり直しが利かないようなところを
相談させていただいたり、休日返上で何度も
リトライいただいたりもしました。

岩田

本来、システム系の開発業務というのは
水が上から下に流れるように、責任が細分化されていて、
一度決まったものはなかなか変えられないことが多いんですね。
対してわれわれの業界は、
手ざわり第一主義みたいなところがあるので、
仕様どおりでも手ざわりがダメなら、
「やり直しましょう」ってことになりますから、
たぶんその文化の違いはあったんでしょうね。

織田

はい。最初はチームラボさんも、
勝手が違っていたので
困惑されたところはあったかと思いますが、
途中からだいぶ理解を深めていただけたので
非常に心強いものがありました。

岩田

あと、今回Wii U GamePadを
テレビリモコンとして使用できますが、
それとは別に『Nintendo TVii』でも
赤外線によるチャンネル切り替え機能が
使えるようになりますよね。

織田

はい、番組表を見て、見たい番組があったら
「そのままチャンネルを切り替えたい」
というのが自然な流れだと思うので、
『Nintendo TVii - チャンネル切り替えオプション』として
有料での提供を今後予定しています。
有料になるのは、番組表と連動した信号を送出するには、
権利許諾が必要になり、その利用料を一部
お客様にご負担いただく必要があるからなのですが、
リモコンと一体化されることで、
より便利に使っていただけるのではないか、
と思っています。

岩田

発売には間に合わなくても、
これから実現していきたい機能にはどんなものがありますか?

神川

何よりも『Miiverse』(※14)との連係を充実させたいです。
ある番組についてのコメントを日本中のユーザーが投稿でき、
それがリアルタイムに流れるようなタイムラインを実現したいですね。
『Miiverse』であれば手書き画像の投稿もできるので、
きっと楽しいものになると思います。

※14
『Miiverse』=Miiを通じて世界中の人たちがつながる、Wii Uにシステムレベルで統合された、ゲームをもっと楽しむためのネットワークサービス。好きなゲームソフトの広場で感想を述べあったり、手描きの絵やコメントを書き込んだりしながら交流できる。

織田

『Miiverse』のプロデューサーの水木(潔)さん(※15)とも、
「サッカー日本代表の試合を見ながら、わらわら広場を
 サムライブルーで真っ青にして盛り上げたいですね」
と話しています。
『Nintendo TVii』と『Miiverse』の相性は大変よいので、
必ず実現したいと思っています。
 
Wii Uをお使いのみなさんのテレビライフが
より充実させられるように、
ニーズや時代の流れに合わせて
『Nintendo TVii』のサービス内容を
アップデートしていきたいです。

※15
水木潔=ネットワーク事業部所属。『Miiverse』のプロデューサー。過去、 社長が訊く『Wii U』 Miiverse プロデュース 篇や、社長が訊く『歩いてわかる 生活リズムDS』社長が訊く『ニンテンドー3DS』内蔵ソフト 篇に登場。

岩田

わかりました。
では最後におふたりから一言ずつ
いただきたいのですが、
『Nintendo TVii』が家にあると、
何が変わりそうな気がしますか?

神川

わたしの家では、家族でテレビを見ているとき、
番組表を見ようと、テレビ画面を切り替えると
子供に怒られちゃうんです。

岩田

ああ、なるほど。
「テレビが見えない!」
「いま見ているのにじゃましないで!」
っていう感じですか?(笑)

神川

はい(笑)。
それが『Nintendo TVii』の番組表で
手元でゆっくり見られるのは、
ちょっとうれしいですね。

神川

あとはやはり、オススメが楽しみですね。
「どんな番組をオススメしてくれるのかな」って。

織田

わたしもそれに近いのですが、
自分が好きでチェックしているタレントさんが、
意外な役でぜんぜん興味のなかったジャンルに
出ているかもしれないので、
そういったものを逃さずオススメしてくれる
楽しみはありますよね。

岩田

好きなタレントさんが関連しているオススメから
それまで見たことのなかった
ジャンルの番組に出会って、
新しい趣味や知識、教養を持つきっかけが
生まれることもあるわけですね。

織田

そうですね。
わたしは、テレビというものは、
人間の文化や営みそのものだと思っています。
テレビから世界中の
まだ見ぬいろんな知識を得ることで、
結果好きなモノが増えていって、
より人生の楽しみも
豊かになっていくものだと思います。
この『Nintendo TVii』で、そういったお手伝いが
「少しでもできればいいな」と思っています。

岩田

テレビでは、本当にいろいろな番組が
放映されているのですが、
ひょっとすると、見れば面白い番組の多くに、
わたしたちは気づけていないのかもしれません。
『Nintendo TVii』を利用することで、
これまで手段がなくて気づかなかった
面白いものと出会うチャンスが増えるのが、
「今回のサービスの面白いところかな」
と思いました。
織田さん、神川さん、
今日はありがとうございました。

織田・神川

ありがとうございました。