社長が訊く
IWATA ASKS

社長が訊く『Wii U』

シリーズ一覧

社長が訊く『Wii U』

New スーパーマリオブラザーズ U篇

目次

4. マップをひとつに

岩田

新しいモードに
「ブーストモード」というのがありますけど、
これはどうやってできたんですか?

岩本

前作で「フリーモード」というのがあって、
ふつうのコースを気軽に遊べるモードでした。
「今回もそれに近いものを入れよう」というのは
当初から決まっていたんです。
そこで、特定のコースをつないで、
ひととおり遊べるようにしてみたんですけど、
あまり盛り上がらなかったんです。

岩田

淡々とした遊びになっちゃうんですね。

岩本

そうなんです。
「ストーリーモードで遊びこんだコースを
 ただ遊ぶだけでは物足りない」
という意見が多かったんです。
そこで、コースを強制スクロールさせて、
「コインを取れば取るほどスピードが速くなる」
というルールをつけてみました。
最初はゆっくりなんですけど、
「だんだん速くなっていく」ので、
「どんどん難しくなる」というジレンマがあって、
それが『マリオ』の遊びに合っていたんです。

岩田

なるほど。

岩本

それにバディプレイで遊んだとき、
タイミングよくブロックに乗ると
コインが出る
んですけど、
そのコインを取ることでもスピードが速くなるので、
ひとりで遊んだときや、ふたりで遊んだとき、
バディプレイで遊んだときで、
戦略が変わってくるんです。

岩田

どのように戦略が変わるんですか?

岩本

ふたりで遊ぶときは
「上のコインを取ってくれ、おれは下を取る」
みたいに、声をかけ合いながら遊ぶことになります。
バディプレイのときは
ブロックに乗るとコインが吐き出されるので、
後ろの人が追いかけて回収していくとか、
役割を分担してコインを集めていきます。
最終的には、早くゴールすることを目的にして、
タイムアタックモードみたいな感じになりました。

岩田

まるで「レースゲーム」ですね。

岩本

そうですね。
一風変わったレースゲームですけど(笑)。

岩田

だから、今回の『NewマリオU』は
アクションゲームなんですが、
パズルゲームも、レースゲームの要素も
味わえるんですね。

足助

そうですね。
「1本で3度おいしい」
みたいな感じです(笑)。

岩田

3DSの『Newマリオ2』は
「限られた時間のなかでたくさんのコインを取る」
というのが目的でしたけど、
『NewマリオU』のほうは
「コインを取ったらスクロールが速くなって、
 タイムを短縮できる」
という違いがあって面白いですね。

竹本

はい。そのアイデアのおかげで、
いままで放っておいたコインも
なんとか取りにいこうとしますし。
しかも、バディプレイがそこに活きると思います。

岩田

ちなみに、ブロックに乗ったら
コインが出てくるようにしたのは、
「ブーストモード」のためではないんですよね?

竹本

そうです。
もともとはうまくブロックを出したら、
「ほめてあげよう」ということだったんです。

岩田

ああ、それが別の意味で役立ったわけですね。

竹本

そうです。
ちょうどうまく結びつきました。

岩田

きれいにパチンとハマった感じがしますね。

竹本

はい。

岩田

そのほかには、どんな新しいことを入れたんですか?

竹本

ストーリーモードでいうと、
コースセレクト画面で
たくさんのワールドをひとつにつなげた
のが
いちばん大きいかなと思います。

岩田

遊んだ人から
「今回は冒険の目的がハッキリわかるようになった」
という声を聞きましたよ。

竹本

そうですね。最終目的地まで、
すべての地形を見渡すこともできますし。

岩田

でも、どうしてバラバラだったマップを
ひとつにつなげようと思ったんですか?

竹本

ファミコンの『マリオ3』(※10)のときに、
すごろくのようなワールドマップになりましたよね。

※10
『マリオ3』=『スーパーマリオブラザーズ3』。1988年10月に、ファミコン用ソフトとして発売されたアクションゲーム。

岩田

ああ、あれは衝撃でしたよね。

竹本

それを見て「すごいなあ」と思ったんです。
それがスーパーファミコンの
『マリオワールド』(※11)になると、
全部がつながっていて、
コースが単なる「コース」ではなく、
「その場所」という感じになって、
冒険をしながら、どんどん、
先に進んでいる感じがしたんです。

※11
『マリオワールド』=『スーパーマリオワールド』。スーパーファミコンと同時発売されたアクションゲーム。1990年11月発売。

岩田

ワクワクしたんですね。

竹本

はい、すごく感動しました。
僕の記憶にはすごく残っていて・・・。

岩田

それで今回、広大なワールドを
ひとつにつなぐことにしたわけですね。

竹本

そうです。20年以上前に、
自分がワクワクしたマップを
今回のWii Uの最新技術を使って、
「大きく進化させてみたい」と思いました。