社長が訊く
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社長が訊く『ニンテンドー3DS』ソフトメーカークリエーター 篇

社長が訊く『ニンテンドー3DS』ソフトメーカークリエーター 篇

第21回:『PROJECT X ZONE』

目次

6. 「誰もが思いつく、非常識なゲーム」

岩田

ここまでお話を訊いてきて、
「どうやってつくられたか?」という謎は、
ずいぶん解けてきました。

一同

(笑)

岩田

これだけ各社の魅力的な作品がそろったわけで、
ファンのみなさんならぜったい気になっていると思うんですが、
かつて前例のないゲームだけに、
そういう方たちに対して「こんなゲームです」と
なかなかひとことで伝えきれない部分もありますよね。

塚中

じつはひとことで説明するのは、
プロモーションをしていても難しいなあ、
というところがあって・・・。

岩田

プロデューサー的に悩ましいところですね。

塚中

キャッチコピーとしては、
「ゲーム史上最大のクロスオーバー」と
表現しているんですが、ひとことで言うなら、
「ゲームの歴史」ですね。
古今東西からこれだけのキャラクターが
一堂に会しているわけで、
ある種ゲーム業界のひとつの歴史を表していると、
わたし自身は思っています。
これは、ほかのみなさんにも聞いてみたいんですが、
どうですか? (笑)

岩田

そうですね。
寺田さんなら何と説明しますか?

寺田

うーん! 難しいですねー(笑)。

岩田

みんなちがう表現でいいと思うんです。

寺田

あの、僕はおもしろいゲームって、
最新の技術だとか、キャラクターの魅力だとか、
いろいろ必要なものがあると思っているんですが、
その中で僕がいちばん必要と思っているのは、
“驚き”です。
このゲームはその最大の驚きが
“クロスオーバー”にあるんじゃないかと。
誰がプレイしても「こりゃすごい」って言ってくれる、
そんなゲームになっていると思います。

岩田

土屋さんはどうですか?

土屋

僕は、新しいゲームをたちあげるとき、
「周りの環境や事情は考えなくていい」って
よくスタッフに言っているんです。
やっぱりつくり手として純粋にやりたいことだけが
お客さんを楽しませるカギになるので、
周りの状況から考えはじめてはダメだと思うんです。
このゲームで言えば、
会社の壁を考えていたら、当然実現しなかったわけで、
そこを超えて突き抜けてできた夢の共演が、
まさにそれを体現したんじゃないかと思います。

岩田

森住さんは?

森住

えーと、ひとことで言ってしまうと
この企画は“みんなが考え得ること”だと思うんです。
いろんなゲームをやったり、アニメを見てると、
「これが一緒になったらおもしろいだろうな!」って
企画の人間じゃなくても、
それこそ誰でも当たり前に思いますよね。
ただそれは普通、現実的にはできないだけで。
でもそれを今回は実現させていただくことができました。

岩田

「本当につくってしまいました」という感じですかね。

森住

はい。なんとか、できました(笑)。

岩田

森住さんが遊んできたゲーム体験を
ひとつの箱に詰め込んだ、とっても豪華な・・・。

森住

幕の内弁当ですかね(笑)。

岩田

5段くらいのお重に入っているんじゃないですか。
普通食べきれないくらいの(笑)。

塚中

完食するには、50~70時間くらいかかります。
そしてすべてがメインディッシュなので
ある意味バランスは悪いかもしれないです(笑)。

岩田

という、「非常識なゲームです」と。

森住

「誰もが思いつく、非常識なゲーム」
なのかもしれません。

岩田

わかりました。
では最後に、みなさんからひとことずつ、
お客さまへのメッセージをお願いします。

寺田

じゃあ、わたしから。
ゲームショウ(※28)のイベントでも同じことを言ったんですが、
セガとカプコンとバンダイナムコゲームスの
いいとこどりをしたこのゲームが、
おもしろくないわけがない! (笑)
ということで、みなさんにぜひご購入いただいて、
“驚き”を一緒に感じてもらえれば、と思います。

※28
ゲームショウ=2012年9月20日(木)から9月23日(日)に幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ2012」のこと。

岩田

はい(笑)。

寺田

あと、こういったコラボ作品って、
お祭りとして表面だけ取りつくろっておしまい、
みたいなものもあると思うんです。
つくり手としては悲しい話なんですけども。
でも『プロジェクト クロスゾーン』は、
再現するだけでよしとせず、そこにプラスアルファで、
各作品に必ず何かしらの愛を仕込んでいます。
原作ファンの方には
そういった見どころもありますので、
ぜひ遊んで、みつけてみてほしいと思います。

岩田

はい。では土屋さん。

土屋

本当に、古い作品から最新のものまで、
ゲームの歴史といえるくらいの作品が
豪華にずらりと並んでいるゲームになりました。
その一方で、主役以外のキャラクターでも、
原作の本編で深く語られていなかったことが、
すごく丁寧に、こまやかに描かれたりしている、
懐の深さも同時にあります。

岩田

「そうだったのか」って
わかるかもしれないわけですね。

土屋

はい。遊ぶ方の趣味趣向に合わせて、
いろんなふうに楽しめる懐の深さを
ぜひ味わっていただけたら、と思っています。

岩田

そうですね。
では、森住さん。

森住

繰り返しになりますけど、
開発自体は本当に楽しんでつくることができました。
誰でも思いつく、この豪華な幕の内弁当ですが、
ぜひ完食していただいて、
その感想をお聞かせいただければと思います。

岩田

それぞれたくさんのファンの方がいるわけですから、
たくさんの声が届きそうですね。

森住

あと、一応言っておきますと、
『無限のフロンティア』でご好評いただいた
セクシーな女性キャラクターの
ちょっとしたお色気要素も
きっちり全開で、押さえてあります。
そこはご心配なく(笑)。

岩田

はい(笑)。
最後に、塚中さん。

塚中

“社長が訊く”をご覧になっている方は、
ゲームが大好きな方が多いと思うんですけど、
我々も同じく、ゲーム好きの集まりです。
今回、『プロジェクト クロスゾーン』という形で
さまざまな作品をお借りして、
それらの作品が一堂に会する機会をつくらせていただきましたが、
これはいままで知らなかった名作に出会える
よい機会になるんじゃないか、と思っています。
ですからこのゲームを通じて
興味を持っていただけたら、
ぜひ、その原作をやってみてほしいです。
そういった部分で原作に恩返しができたら
開発者冥利に尽きます。
きっとまだ知らないおもしろい作品が
世の中にはたくさんありますので、
『プロジェクト クロスゾーン』を遊んでいただくことで、
そんな作品に巡り会っていただけたら、うれしいです。

岩田

ゲームの歴史がもっとくわしくわかって、
ゲームがもっと好きになるゲーム、ですね。
みなさん、今日はありがとうございました。

一同

ありがとうございました。