社長が訊く
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社長が訊く『すれちがい通信中継所』

社長が訊く「すれちがい通信中継所」

目次

5. 「国ちがい通信」も?

岩田

では「すれちがい通信中継所」を開始して、
みなさんの手ごたえをひとことずつお訊きしましょうか。
それでは左側の松岡さんから順番にお願いします。

松岡

僕はリリースした夜中に、
ひと気のないコンビニに行ったんです。
すると、緑のランプがポッとついたときには、
すごくホッとしました。

松岡03

岩田

ひと気のないコンビニに、ひとりで?(笑)

松岡

はい。
それでも、緑のランプがついたので、
「ああ、ちゃんと来てるんだ」って(笑)。

岩田

でも、自分でつくったんでしょう?(笑)

松岡

ええ(笑)。
でもやっぱり感慨深かったです。

井上

僕の場合、母親が『どうぶつの森』に
すごくハマっていまして、買い物に行くときも、
つねに3DSを持ち歩いているような状態なんです。

井上03

岩田

ありがたいですね。

井上

それで、京都や東京へ旅行に行くと、
すれちがいがすごく多いのに、地元では・・・
母親が住んでいるのは地方都市なんですけど、
1日3人とか、よくても5人、みたいな感じで、
「もっとすれちがえないかなあ」と、
ずっと言っていたんです。
ところが、「すれちがい通信中継所」を
リリースしたあとに聞いてみると
「なんか増えた気がする」と言うので
帰省したときに、母親の3DSを見せてもらったら、
いつも聞いているよりもすれちがい人数がちょっと増えて、
「やっぱり効果があるんだ」と
自分でもビックリしました。

紺野

あの、順番がかわりますけど
いいでしょうか?

岩田

はい、どうぞ(笑)。

紺野

じつは、わたしの父もハマってるんです。

岩田

紺野さんのお父さんも
『どうぶつの森』にハマってるんですか?

紺野

そうなんです。
わたしがとくに説明したわけではないのですが、
父は自力で「すれちがい通信」の機能を発見して、
「ハッピーホーム展示場」の概念も自分で理解して、
「これはおもしろい!」と気がついた人なんです。
そこで、買い物に行くときには
いつも3DSを持ち歩くようになったようなんですが、
やっぱりなかなかすれちがえなかったみたいなんですね。
でも、今回の「中継所」のことを教えると、
すごく喜んでくれて、いまごろわたしの父親は、
毎日セブン-イレブンに通っていると思います(笑)。

一同

(笑)

河原

僕の場合、このサービスがはじまって
ネットでいろんな声を見てみたんですけど、
「田舎だから助かった」とか、
「はじめてすれちがいできました」
というような声を聞くことができて、
すごくうれしかったです。
ちなみに、僕の地元は、井上さんよりも
もっと人口の少ない地方なんですけど、
リリースをした当日は
「さすがに中継所の利用は誰もないだろうな」
と思っていたんです。

河原04

岩田

でも、あったんですよね?

河原

そうです、あったんです。
先ほどはログの収集基盤として
fluentdを導入しているとお伝えしましたが、
そのほかに今回、分析用途で利用するために
Amazon Redshift(※31)というサービスも導入しています。
そのおかげでほとんどタイムラグなく
利用状況を深く見ることができているのですが、
当日、サービス開始の6時間後ぐらいにアクセス状況を見てみると、
40件もあって「あ、あった!」と(笑)。
そのときは本当にうれしかったですね。

※31
Amazon Redshift=AWSが提供するクラウドサービスのひとつ。大規模なデータの分析を行うためのシステム。

山崎

僕は、リリースしてから
意外にもたくさんの反応があったことに驚いています。
岩田さんが最初に言ったように、
日本では、このサービスを実施することについて
事前に何もお知らせしなかったですし、
あまり注目されることもなく、ひっそりとはじまって、
毎日コツコツと続けていくものだと思っていまして、
ましてや今日のように、社長から訊かれるなんて
思ってもみませんでしたから(笑)。

山崎03

岩田

なぜこんなに反応をいただけたと思いましたか?

山崎

やっぱりみなさん、
すれちがいをしたかったんだなと思いました。

岩田

たくさんの方にご利用いただけて
「すれちがい通信中継所」をつくった甲斐が、
本当にありましたね(笑)。

山崎

そうですね(笑)。

岩田

では、紺野さん・・・
先ほど話したからもういいですか?

紺野

いえ、言わせてください。

岩田

はい(笑)。

紺野

わたしは自転車通勤をしているんですけど、
“言い出しっぺ”のひとりでもありますから、
サービスを開始したその夜に、
会社から自宅まで、その間にある
7件の「中継所」をチェックしてみたんです。

紺野04

岩田

さっそく“ハシゴ”をしたんですね(笑)。

紺野

そうなんです(笑)。
その結果、7件中5件も
ちゃんとデータが入っていたのには驚きました。
何しろ3DSの本体更新の当日のことですから・・・。

岩田

本体更新をしていただかないと、
「中継所」をご利用いただけませんからね。

紺野

なので、少し安心しました。

岩田

さて、そのように日本では、
「すれちがい通信」のおもしろさが
どんどん拡がっている印象があるんですけど、
海外では、まだまだのところも多いわけですよね。

紺野

そうですね。
なかには、ひとりも訪れていないアクセスポイントが、
ほんの少数ですけど、海外にはあったりしますから。

岩田

そうすると、
「すれちがい通信」を楽しみにやってきたお客さんは、
自分のデータを預けるだけになってしまうわけで、
そういうことはなんとかなくしたい、
ということで、サービスを開始した日から
山崎さんともいろいろやりとりしているわけなんですけど。

山崎

そうですね。
これからできることはいろいろあると思います。

井上

たとえば、ある人のデータを
サーバー側で複製して、たくさんの人にあえて配る、
という方法も考えてみたんですけど、
むやみやたらに複製するとインフレが起こってしまって、
「すれちがい通信」の本来の価値が
損なわれてしまいかねないんですよね。

岩田

そうですね。
これもたとえば、の話ですけど、
いまは、Aという「中継所」にアップされたデータは、
同じAの「中継所」に戻すようにしていますけど、
国中、あるいは世界中にある、バラバラの「中継所」を
ひとつの「中継所」として扱うことも
技術的には可能なんですよね。

山崎

はい。

岩田

そこで、「今日は日本全国を混ぜる日です」とか、
「今日は世界中を混ぜる日です」みたいに、
その日限定のイベントを行うことも、
やろうと思えばできるわけですね。
それらをわたしは「県ちがい通信」とか
「国ちがい通信」という名前で勝手に呼んでいますけど。

紺野

そうですね。
「国ちがい通信」をやれば、
すれちがうことの少ないアメリカの地方の人と、
人口の多い東京の人が
すれちがうことも可能になります。

岩田

でも、そういうことを日常的に行えば、
「すれちがい通信」の価値が
損なわれてしまいかねないわけですよね。

井上

そうなんです。
僕は海外に3DSを持って行ったときに、
たまたまロンドンの方とすれちがいまして、
イギリスの方とすれちがったことに、
とても大きな価値を感じているんです。
ところが、「国ちがい通信」で、
イギリスの方がバンバンやってくるようになると、
その価値が半減するどころか
なくなってしまうんじゃないかと思うんです。

岩田

ですから、どこまでやるのか、という話は、
すれちがいの量が増えさえすればいい
というものではありませんし、
すごくデリケートな要素を持っているのは
間違いないですね。
その意味では、いきなり「国ちがい通信」とかを
はじめるというのは、乱暴すぎるでしょうね。

山崎

そうですね。

岩田

ただ一方で、
せっかく「中継所」まで足を運んでいただいても、
空振りの人がいるのも、また事実なんですよね。
そういう空振りが起きないように、ぜひ改善したいですよね。

岩田03

山崎

はい。
ですから、なるべく「すれちがい通信」を
たくさんの人にご体験いただいて、その結果
「3DSを持ち歩くこと自体がおもしろい」
ということを、世界中の人たちに感じていただけるようにすることが
チーム共通のこれからの目標です。

岩田

その観点からすると、いきなり「国ちがい通信」とかでなく、
すれちがいがあまり成立しない拠点同士を
ひとつのグループにまとめて、まずは、より多くの方に
すれちがい通信を体験していただけるようにする
というところからはじめるのかな、と思いますね。

山崎

はい。
今回は、3DS本体を更新していただく必要がありましたけど、
これからは、サーバーの更新だけで
どんどんサービスを進化させる準備ができましたので、
今後をぜひ楽しみにしていただきたいです。

岩田

ですから近い将来、
「すれちがい通信」を使っていただけている人が
「こんなに増えました」というご報告ができるように、
がんばりたいですね。

紺野

はい。わたしもとても楽しみにしています。
次にニューヨークに行ったときに
「こんなにすれちがえました」
と、ご報告できることを(笑)。

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