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株主・投資家向け情報

2010年6月29日(火) 第70期 定時株主総会
質疑応答
Q 13  現在37歳でDSを持っており、買ったきっかけは脳トレというソフトだったが、そういった知識や知恵、教養が深くなるようなソフトを今後も開発をしていただきたい。自分の年代は、そういったソフトを欲しがっていると思う。
A 13

岩田:

 先ほど脳トレの例を挙げていただきましたが、nintendogsや脳トレ、あるいはWii用のWii Fitというようなゲームは、やはり非常に今までのビデオゲームの歴史の中で特殊なものだったと思うんです。と言いますのは、ビデオゲームをしないのはなぜかと問われたとき、「いや、自分は指先が器用に動かないし、今流行っているビデオゲームのテーマには興味がないから」という方がたくさんいらっしゃったので、「いや、ビデオゲームってこんなこともできますよ」とおつくりし、お示ししたのがnintendogsであり脳トレであり、Wii Fitだったからです。それぞれ新しく(ビデオゲームの世界に)入っていただいた方もいらっしゃいましたし、今までビデオゲームを遊ばれてきた方にも「あ、こんな用途があるのか」ということもありました。例えば、「今までは自分の奥さんはビデオゲームに対して全く興味や関心を示さなかったけれども、Wiiになって急に一緒に遊べるようになった」というお客様の声もたくさん聞きました。

 教養トレーニング系では、脳トレ以降、爆発的にたくさんのソフトが出ましたが、もちろん、お客様は同じようなものには必ず飽きていかれます。娯楽の最大の敵は「飽き」ですから、やっぱり同じように見えるものは、今までほどの市場性は持てないと思っております。ですから、同じテーマに見えないものをどうつくるかということが鍵になります。最近の例で言いますと、「絵心教室DS」というソフトを今宣伝してDSで売っているんです。まだ売れている量はわずかですが、これは全く絵の描けない方に、「とりあえず言ったとおりに書いたら、自分でびっくりするような面白い絵が描けますよ」という絵の描き方を教えてくれるソフトなんですね。これは、実際に購入された方からの満足度も高いようですし、こういうものが広がっていくと新しい市場ができると思います。こういうテーマを定期的に任天堂が発掘し、提案できるかどうかということが非常に大事かなと私は思っています。

Q 14  基本戦略の「ゲーム人口の拡大」と関連して、ファン活動と知的財産の扱いについて伺いたい。近年、任天堂のタイトルを題材にした同人漫画やオリジナルショートムービー、バンド、コスプレ、ウェブサイト、オーケストラなどが活発だが、こういう知的財産、ライセンスを脅かす恐れがある場合は積極的に取り締まるのか、それともファンの活動であるということでそのまま見守るのか。何か方針があればお聞かせ願いたい。
A 14

岩田:

 まず、今のお話は非常に判断が難しい側面を持っています。知的財産を脅かす行為をあらゆる面で黙認しますとは、当然申し上げられませんし、一方で当社に好意を持っていただいて何かしただけで、まるで「任天堂は自分を犯罪者扱いするのか」というような対応もまた不適切かと思います。表現の中には、私どもの知的財産の品格をおとしめるような明らかに度を越えたものや、あるいは事実と異なるものと組み合わせてその知的財産の世界観を破壊してしまうようなものも当然ありうるわけです。社会との中で折り合いがつき、私どもの知的財産の品格や価値がおとしめられない表現かどうかというのが、一つの判断点かと思います。ただ、判断が非常に微妙な要素も持っておりますので、一律にこういう線を持って私どもはこの場合はこうしてこの場合はこうしますということは申し上げにくいです。

 そういう意味では、すべての点でこのことについてオーケーですとは当然申し上げられませんし、どんな小さなものでも、ものすごい勢いで対応できるかというとそれはまた現実的ではないと思うんですね。逆に私どもも、インターネットを使って個人がいろいろな情報を発信できるような時代になりましたので、今日こういうお話をお聞きして改めて考えますと、こういう事例について、任天堂だけが見つけるということは無理ですから、ここは任天堂の知的財産の価値や品格を傷つけているのではないかということを感じられたお客様が当社の側に何らかの形でコンタクトをする窓口をはっきりさせることによって、それを感じられたお客様から任天堂にお知らせいただいて、任天堂がその後適切な措置をとるという方向を探らねばならないなと思いますので、そのような対応をこれから考えたいと思います。

Q 15  「DSiウェア」や「Wiiウェア」などを販売しているショッピングチャンネルへの改善についての対応がしばらくストップしているように思える。それについては、今後どのようにしていくのか。また、「Wiiウェア」について、最近リリースされるソフトの数が減少傾向にあるが、テコ入れなどは考えているか。
A 15

岩田:

 「DSiウェア」や「Wiiウェア」をご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんので少し補足させていただきますと、ニンテンドーDSiとWiiという機械には、ダウンロードで購入できる比較的コンパクトで安価な専用ソフトウェアがございます。今店頭で売っているパッケージのソフトというのは値段もある程度高いですし、それをまとまった数を売るということを前提にビジネスの構成をしておりますので、基本的に大きな費用をかけて開発し、大規模なテレビ宣伝をして販売をするというモデルで回っているわけなんですが、そうするとなかなか小規模で面白いアイデアの商品ができないということで、こういう仕組みを新たにつくることによって小規模なソフトにはアイデア勝負のソフトの売り方をつくり、大規模なソフトはパッケージとしてやっていこうという形で始めたものです。

 始めてみて、任天堂が今、痛感していることは、お客様に能動的に動いていただくことの難しさです。能動的に動いていただくとはどういうことかと言いますと、この「DSiウェア」とか「Wiiウェア」というのは、お客様がそれぞれニンテンドーDSiの中にある「DSiショップ」というソフトやWiiの中にある「Wiiショッピングチャンネル」というソフトを立ち上げていただくと一覧が出てきて、その一覧の中から選んで買っていただく仕組みになっています。その立ち上げて選んでいただくということを能動的に行っていただくのがすごく難しいんですね。以前にも質疑応答でお答えしたことがあるんですが、今のDSiショップやWiiショッピングチャンネルというのは、お客様が買いたい商品をよくご存じで、お店に行ってわき目も振らずその商品がある場所に行って、それを持って一目散にレジに行って買うような「指名買い」のためのものになっていて、買い物の楽しさが全然実現できていないのではないかと感じていまして、買い物を楽しくなるようにできないと、うまくいかないんじゃないかと申し上げたことがございます。もう一つの課題は、仮に楽しくなったとしても、(「DSiショップ」や「Wiiショッピングチャンネル」を)立ち上げてくれるのかという問題です。すなわち、新しいソフトが出たとしても、「DSiショップ」や「Wiiショッピングチャンネル」を立ち上げて調べないとわからないという仕組みだったとして、お客様は「立ち上げてみたが、新しいソフトはなかった、帰る」ということを何回も繰り返してくださるのかというと、これはあまり現実的ではありません。

 これを大きく変えるには、やはりハードの仕組みが大きく変わる時がチャンスだろうということで、ニンテンドー3DSは「眼鏡をかけずに3D映像が見られます」ということのほかに、通信機能の強化をもう一つの軸として考えておりまして、お客様が能動的にニンテンドー3DSのふたを開けて通信しようとしなくても、持って歩いてくださる中で通信のチャンスがあったら自動的にいろいろな情報が届くようにする予定です。ちょうど携帯電話が、メールが来ているかどうかを自動的にチェックして、届いていたら震えたり音が鳴ったりする、あれと同じことだと考えていただくとわかりやすいかと思うんですが、そういう機能が実現できないかなということを考えています。そういうことと組み合わせることで、こういう電子配信型のビジネスというものの拡大を考えたいというのが今考えていることです。また、「ソフトの数が最近減っているのではないか」とか、「ぱっとしたものが出てきてないんではないか」ということに関しては、これは任天堂の努力が足らないという部分と、これらのソフトをつくられるソフトメーカーさんの開発意欲の問題と二つの面がございますが、DSにしてもWiiにしてもまだ、現時点では現役のプラットフォームですので、今おっしゃったような充実度が足らないというのが少しでも改善できるように努力してまいりたいと思います。


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