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2010年6月29日(火) 第70期 定時株主総会
質疑応答
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株主総会に出席された株主様からのご質問とそれに対する回答のうち、主要なものを掲載しております。

Q 1  今年から1億円以上の役員報酬は情報開示が必要とのことだが、該当役員はいるか。
A 1

取締役社長 岩田 聡(議長):

1億円以上の役員報酬
取締役報酬の算出法
固定報酬の算出法
業績連動報酬の算出法
業績連動報酬の算出法
業績連動報酬の算出法

 今期から有価証券報告書で1億円以上の役員報酬を出している会社はその個人名を開示することが義務づけられました。今までは(役員報酬の)総額を開示していればよいとされていたのですが、ルールが変わったわけです。1億円以上の役員報酬の対象者として第70期の有価証券報告書に記載しますのは、代表取締役の岩田、森、波多野、竹田、宮本、永井の6名です。最高額は岩田の1億8,700万円です。これだけでもご質問にはお答えしたことになりますが、これはどのように決まったのかということも併せてご説明いたします。

 3年前に開催されました第67期定時株主総会で、「取締役の報酬は年間5億円以内の固定報酬枠と、当該事業年度の連結営業利益の0.2%以内の業績連動型の変動報酬枠とする」ということを決議いただきました。

 固定報酬につきましては、総会で決議いただいた年5億円の枠内で、基本的には職位、すなわち責任の重さに前年までの貢献度を考慮いたしまして、取締役会で決定しております。第70期の取締役の固定報酬の総額は4億1,500万円でした。社長の固定報酬が年間6,800万円で、これが全取締役の最高額となっております。私どもはこれを12等分して、役員報酬として毎月いただいているわけです。

 次に変動報酬ですが、これは先ほども申し上げたように業績連動型で、連結営業利益の0.2%を基準として、総額を決めております。この総額は1,000万円未満を切り捨てにし、また、総額6億円を上限とすることを取締役会で自主的に決めております。当期の連結営業利益は3,565億円でしたので、この0.2%から1,000万円未満を切り捨てますと7億1,000万円となりますが、上限を超えておりますので、当期に関しては業績連動報酬の総額は6億円となります。

 このように決められた業績連動報酬を取締役間でどのように配分するかという算出方法につきましては、以前より有価証券報告書に記載し開示しておりますが、ここで詳しくご説明したいと思います。取締役は職位別にポイントというものを決めております。これは責任の重さと読み変えていただいてもよいと思います。先ほどお示しした業績連動報酬総額をこの職位別のポイントによって配分するというのが、業績連動報酬の決定の仕組みです。当期は取締役12名、全員のポイントを合計しますと22.7となりますので、社長の岩田の場合は業績連動報酬総額の4.5/22.7の配分を受けることになります。総額6億円をもとにそれぞれ計算しますと、このようになります。単純に割り算をいたしますと端数が出ますので、これはそれを調整した後のものです。これを株主総会が終了した後、私どもは役員賞与としていただくということになっています。

 このような計算の基準に基づいて1億円以上の報酬となるのが、先ほどご説明した代表取締役の6名となります。なお、当社では第65期定時株主総会終結の時をもって役員退職慰労金は廃止しております。また、ストックオプションなど現金以外の役員報酬もございません。

Q 2  任天堂の株価について。一時は7万円を越えた株価が2万6,000円程度にまで下がってしまったが、株価浮揚策のようなものはあるか。
A 2

岩田:

 株主の皆様におかれましては、株価は当然非常に大きな関心事の一つであろうと思います。また、株価は企業価値の一つの指標として世の中で広く認められているわけですし、私どもも経営者として、当然のこととして常に株価を意識しています。一方で、株価というものは市場の投資家の皆様のご評価と市場の環境で決まるという面がございますので、経営側から「今、株価はいくらであるべきだ」ということを申し上げようがないというのも事実でございます。

 直近の株価の流れを見ましても、当社がニンテンドー3DSを発表した今年の3月23日以降、株価は一度上昇いたしまして、4月初めには約3万3,000円になりました。しかし5月に入って、ギリシャの財政悪化問題等からユーロ安となり、当社はヨーロッパでのビジネスの規模が非常に大きくなっていて、ユーロ建ての売上が大きいために先行きが懸念され、当社に限らず、輸出企業の多くの株価が軒並み下落いたしました。日経平均株価も4月初めには約1万1,400円でしたが、直近ではご存じのように1万円を割り込んでいます。

 基本的に、私どもとしては、中長期的に任天堂がいかに健全に発展するのか、言い換えれば、我々は定期的に新しい商品でお客様にいい意味で驚いていただき、その驚いていただいた提案が世界中の皆様の心に響いて、たくさん商品を受け入れていただけるのかどうかということがステークホルダーの皆様全体の利益につながると思っています。ですから、私どもの責任は、先行きの懸念を払拭できるように、「任天堂はニンテンドーDSとWiiで急成長したが、それはその時だけで持続的なものではないんだ」と思われないように、これからいかに毎期しっかりと業績を出していくかということだと思います。「任天堂は運が良かっただけでニンテンドーDSやWiiの結果が出たのではなくて、実際にそういうことが持続的に可能な組織であるから、このような結果が出ているんだ」と中長期的に認めていただければ、先行きの懸念が払拭され、結果的に投資家の皆様に高いご評価をいただけると思います。当面で言えば、ニンテンドー3DSがどのように受け入れられるか、ニンテンドー3DSは、非常に普及したニンテンドーDSと並び、超える存在として、たくさんの方に受け入れられるかどうかということが非常に大きなポイントになるはずですので、そこに集中していきたいと思います。一方で、「新製品が出たから新製品だけ」というのも問題でして、世界中に非常にたくさんの台数のニンテンドーDSやWiiが普及しているわけですから、そこに向けたソフトウェアの開発と普及が併せて重要だと考えています。

Q 3  為替が円高に振れると大きな為替差損が出るということが新聞等でよく報道されているが、たくさん持っているユーロやドルを日本円に変える方法は考えていないのか。
A 3

岩田:

 為替の問題というのは、当社の場合二つの要素があります。一つは、アメリカで売れば売上はドル、ヨーロッパで売れば売上は基本的にユーロになります。ユーロやドルの売上というのは、最終的には決算時に、すべて円換算いたします。円換算しますので、円高になれば円の金額が目減りします。目減りすると売上が減るということになります。逆に円安になれば、同じドル建て、同じユーロ建ての売上が、円換算すると大きくなりますので、現地通貨での売上が増えていなくても、円換算した売上が増えたように見えるという効果もございます。これは、すべての輸出企業に当てはまるポイントになります。第70期の例でお話ししますと、63億ドルの外貨建て売上と36億ユーロの外貨建て売上がありました。ということは、円とドルあるいは円とユーロの間で1円変化しますと、それぞれ63億円あるいは36億円の影響を売上が受けるということになるわけです。ここまでは、すべての輸出企業に共通です。

 ちなみに、当社はドル建ての売上が非常に多く、その影響が大きく出過ぎるので、なんとかこれを相殺できないだろうかということを考えまして、仕入れをドルにすることに取り組んできました。これは10年前にはほとんどなかったのですが、ここ数年ではかなり大きくなっています。第70期の場合ですと、ドル仕入れは21億ドルございます。ですから、円高、円安が63億ドルの外貨建て売上に与える影響を、仕入れの際にドルで支払った21億ドル分は打ち消すことができています。これは、ドル支払いを積極的に望まれる取引先、仕入先の方がたくさんいらっしゃるので、こういう調整がある程度できます。一方、当社のユーロ建ての売上高は、ニンテンドーDSの発売以降非常に大きく変わりました。(過去数年に)ビジネス規模が最も大きく変化した地域と言っても過言ではありません。ユーロ建ての売上も増え、我々としては、仕入れをユーロでできないかということをこの間いろいろ努力して参りました。しかし、ヨーロッパに当社が仕入れをしている大きな会社はございませんし、また、ユーロ建ての支払いを積極的に望まれる取引先も残念ながら見つかっておりません。ですから、毎期出てくるこの問題の解決に関しては、ユーロ建ての売上の為替変動による影響をいかに小さく抑えるかということが経営上の課題として残っているという状況です。

 もう一つ、任天堂には特殊な事情がございまして、それは先ほど株主様のご発言にもあったのですが、外貨建ての資産が多いため、円高、円安の影響を受けやすいのです。すべての輸出企業は外貨建ての売上を円換算しており、売上に(為替の)影響が及ぶのは変わらないのですが、そのほかに任天堂は外貨建ての資産を比較的たくさん持っています。外貨建て資産は、期末に必ず一度円換算して再評価をします。以前から(外貨建て資産として)持っていたドルやユーロを、毎年決算期ごとにその日のレートで円換算するわけです。これは売上とは別です。(営業外の為替差益や為替差損になり、営業利益と経常利益に差が生じる要因のひとつになります。)以前のように為替が比較的安定していれば、ここで大きなプラスマイナスは出てこなかったわけですし、以前は(円に比べてドルやユーロの金利の方が高い)金利上のメリットもあり、外貨で持っている意味は非常に強くあったわけです。しかし、今は日本と海外の金利差がだいぶ縮まりましたし、為替もかつてでは考えられないほど変動します。私は「3年後に1ユーロにつき20円今より円高になるから備えよ」と言われれば、経営は3年かけてそれに対応すべきだと思うんです。ところが、今起こっていることは、1週間か10日の間に、1ユーロが突然15円ぐらい変動したりするわけです。4月末から5月の頭に、まさにそれが起こりました。こうなると、今までも取材等でお話ししたことがありますが、経営が対応する限界を超えております。その意味では、外貨でお金を持つことのメリットとデメリットをもう一度考えなければいけない時期にきているとは思いますが、一方で、為替というのは長期的には各地域の経済の活性、基礎力をもとに動くわけですから、長期的に考えると、いろいろな基軸通貨をバランスよく保有することが実は最も効果的であり、どんな場合にも備えられるのではないか、とも思っております。今は円高のことばかりが話題になりますが、いつ逆の流れが起こるとも限らないわけで、その意味では以前にも増して、バランスを考えなければならないと思います。

 ちなみに、当社としてもできる限り有利な条件で円への転換ができるように努力しております。そういう努力の積み重ねも、為替差損を減らすということに対して有効に機能しており、先ほど事業報告のご説明で、第70期は為替差損が2億円しか出なかったと申し上げましたが、証券アナリストの方から「この為替差損2億円というのは、昨年1年間の為替の動きを考えると非常にうまくやれましたね」というお褒めの言葉をいただいたこともあります。そういう工夫もして、株主の皆様の利益を極力損なわないように努力をしているということでございます。

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