社長が訊く
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社長が訊く『ルイージマンション2』

社長が訊く『ルイージマンション2』

目次

2. 「どう?」

岩田

では、最後の質問です。
『ルイージマンション2』にかかわったみなさんから、
お客さんへのメッセージを
ひとことずつお願いします。

ブライアン

わたしは前作のファンとして、
そして『ルイージマンション2』の制作者として、
任天堂とのコラボレーションで
成し遂げることができたこのプロジェクトを
たいへん誇りに思っています。
また、ファンのみなさんには、とても長い間、
辛抱強く待っていただきましたが、
これからはみなさんに楽しんでいただく番です。
わたしたちとしても、世界中のみなさんといっしょに、
マルチプレイで遊ぶことを楽しみにしています。

チャド

わたしからは、
「ルイージと遊ぶことを楽しんでください」
と言いたいです。もちろん、
「マリオのようなヒーローになって遊ぶことが楽しい」
という人たちもたくさんいると思いますけど、
じつはルイージというキャラクターは
自分にすごく近い存在なんです。

岩田

そうそう、
みんなルイージに近いんですよね(笑)。

チャド

ですから感情移入しやすいと思いますし、
ルイージが感じる恐怖は、自分の恐怖にもなって、
それは『ルイージマンション2』だけでできる
不思議な体験になりますので、
ぜひ楽しんでいただきたいと思います。

ブライス

今回、じつはいつも宮本さんから
「開発を楽しんでいますか?」と訊かれていました。
実際、開発の現場はすごくよい雰囲気でしたし、
自分たちもとても楽しみながら、
このゲームを開発することができました。
その雰囲気は、きっと製品版の中にも
たっぷり詰まっていますので、
「ぜひ味わってほしい」と思います。
そして、わたしたちがこのゲームに盛り込んだ
さまざまな細かいところも、
2月のニンテンドーダイレクトで、宮本さんが
オバキュームを背負って登場(※12)した時のように(笑)
「驚いてほしい」と思っています。

※12
宮本さんがオバキュームを背負って登場=「Nintendo 3DS Direct Luigi special 2013.2.14」で放映された、宮本が掃除機を背負って登場したシーンのこと。

岩田

では池端さん。

池端

開発に長い期間をかけてしまったんですけど、
そのぶん「ネタの密度は高くなった」と思います。
ですから「みなさんにはその密度を
楽しんでいただきたい」と思っています。

岩田

「ネタ密度が高くなった」のは、
「ダークライト」も貢献していますよね。

池端

そうですね。
「ダークライト」は彼らからの提案なんです。

岩田

そうなんですか。
ちなみに、「ダークライト」のアイデアは
どうやって生まれたんですか?

ブライス

もともとのコンセプトは、
現実の世界と異世界・・・
つまり霊界のようなものが同じ部屋に共存する、
というところからはじまったんです。
それは、たとえば
『メトロイドプライム2 ダークエコーズ』(※13)
『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』(※14)
光と闇のような世界にも
共通するところもあると思うんですけど・・・。

※13
『メトロイドプライム2 ダークエコーズ』=2005年5月に、ゲームキューブ用ソフトとして発売されたファーストパーソンシューティングゲーム。光と闇の世界を行き来しながらストーリーを進めていくゲームで、2009年6月には『Wiiであそぶセレクション』の1作として登場。
※14
『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』=1991年11月に、スーパーファミコン用ソフトとして発売されたアクションアドベンチャーゲーム。トライフォースを求め、光と闇の世界を行き来しながら冒険をする。

岩田

ああー、なるほど。

ブライス

ただ、そのような、
異なるふたつの世界というシステムは、
いまでは新鮮味がなくなっているということで、
今回は屋敷を探索していくなかで、
「ボタンを押すことによって、
 あるはずなのに、ないものを見つける」
というアイテムとして
ダークライト」というものを考えました。

池端

今回のゲームは、クエスト制になっていて、
「個々の細かいミッションがたくさんある」
というつくりになっているんです。
そこで同じマップを使って、
違うクエストをプレイするんですけど、
同じところに何度も行くので、
「変化がないとやっぱりつまらなくなってしまう」
と思ったんです。

岩田

変化が出ましたね、
「ダークライト」の存在で。

池端

そうなんです。
そのアイデアがあったおかげで、
クエストに厚みを出すことができました。
彼らにはすごく感謝しています。

ブライス

自分たちとしても、もともと考えていた
「ふたつの世界を行き交う」という方法ではないのですが、
結果として「とてもいいアイデアが出せた」
と思っています。

池端

あと、いままであまりお話ししていないんですけど、
いろいろなところを のぞき込む機能が入っています。
壁にあいた穴や窓からのぞき込むと、
ある時はゲームを進めるためのヒントが得られたり、
オバケたちが遊んでいる姿が見られたり、
オバケの生態がわかるような演出も入っていますので、
ぜひ、いろいろのぞき込んでほしいです。
そこはけっこうこだわってつくりましたので。

岩田

それが パッケージデザインにも
表現されているんですね。

池端

そうです。
ルイージが恐る恐るのぞき込むポーズを意識して、
パッケージをデザインしました。

岩田

では最後に、宮本さん。

宮本

今回のタイトルは
『ルイージマンション2』ということで、
普通の続編のように見えるかもしれないんですけど、
オバケ屋敷とかオバキュームとかオヤ・マー博士とか、
前作のアセット(資産)はそのまま使いつつも、
じつはゲームの中身については、かなり大胆に・・・。

岩田

変えましたよね。

宮本

はい。
謎解きをたっぷり楽しめるようになって、
自分が本当のオバケ屋敷にいるような感覚を
とても大事にしながらつくりましたし、
「それぞれのオバケを見るだけでも楽しい」
というふうにもできていると思います。
しかも、さっきのお話にあったように
現場のスタッフたちが楽しんでつくったので、
「遊べば遊ぶほど面白いものになった」
と思います。

岩田

宮本さんが、何度も
ネクストレベルゲームズの人たちに
「開発を楽しんでいますか?」と訊いたのは、
いろんな“カラクリ”を面白くするためには、
「何よりもまず、開発者が楽しんでつくらないと、
 それがお客さんにうまく伝わらないから」
ということだったんですよね。

宮本

そうですね。
楽しんでつくってもらえた結果、
今回は本当にステージが進むごとに、
密度が濃くなっていくんです。
「そんなゲームは珍しいな」と感じるくらい、
中盤を過ぎるとさらに面白くなっていきます。
だから、多少難しく感じるところもあるかもしれませんが、
コツコツと最後まで遊んで、
「『ルイージマンション』の世界をたっぷり味わってほしい」
そう思っています。

岩田

みなさんが、迷走することもなく、
3年以上、楽しみながら走りきって、
それらを全部、詰め込んだものが、
この“濃い密度”というアウトプットになって
出てきているんでしょうね。

宮本

あと、最後にもうひとつ言いたいことが。
12年前に発売された『ルイージマンション』を
「もう1回つくってほしい」とか
「つくりましょうよ」と言ってくれた人たちが
世界中にたくさんいてくれて、
そのようなみなさんのおかげで
『ルイージマンション』の新作を
ようやく世に出すことができます。
しかも今年は“ルイージの年”として
お祭りをしてくれるということで・・・
(深々と頭を下げながら)
ルイージに代わりまして、感謝いたします!

一同

(笑)

岩田

“ルイージの年”として、
「すばらしいスタートダッシュが切れるんじゃないか」と、
わたしも大いに期待しています。

ブライス

だから帽子を持ってきました!
(再びルイージの帽子をかぶり
 3人そろってうれしそうにガッツポーズ)

岩田

あははは(笑)。
楽しみながらつくったことが、
モニターの向こうからも伝わってきますね。
今日はどうもありがとうございました。

一同

ありがとうございました。