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サプライチェーンを笑顔にする 生産パートナーや開発パートナー、流通パートナーの皆様と良好な関係を築き、よりよい商品をお客様に提供できる環境づくりに努めています。

生産パートナーとともに

 任天堂は、自社で生産工場を持たない「ファブレス型」の生産体制をとっており、国内外の多くの生産パートナー※1とともに製品の品質や技術力の向上、安全性の確保、生産効率を追求しています。
 サプライチェーン全体でCSR活動を進めていくことで、生産現場の労働環境が改善し、労働者の定着や生産性の向上につながります。それが高品質な製品の生産を支え、結果的にお客様をはじめとする任天堂に関わるすべての人を笑顔にすると考えています。これからもコミュニケーションと相互理解を重視し、生産パートナーと協働してCSR活動を推進していきます。

CSR調達の方針

 生産パートナーとの相互理解の深化と信頼関係構築に主眼を置き、サプライチェーン全体で社会的責任をより確実に果たしていくために、調達活動の責任本部が「任天堂CSR調達ガイドライン」(日本語版・英語版に加え、2019年8月には中国語版を作成)を作成しています。
 このガイドラインは、外部専門家からのアドバイスを受けながらRBA(Responsible Business Alliance)の基準を取り入れ、人権、持続可能性、倫理的調達などの課題に関連した強制労働の禁止、労働者の人権尊重や、労働安全衛生などについて、国際的な関連法令や基準に基づいた具体的な指針を示しています。
 このガイドラインをすべての一次取引先に配付し、内容に同意いただいています。その先のサプライチェーンについても、一次取引先に対し当社に代わっての当ガイドラインの周知をお願いしており、遵守を求めています。また、一次取引先との取引基本契約にもガイドラインの遵守についての項目を設け、同意いただいています。
 調達部門の社員は、このガイドラインを理解し調達活動を進めています。また、CSR 調達に対する理解をさらに深めるため外部専門家による講習なども継続して実施しています。
 任天堂の「調達方針」および「取引先選定方針」は任天堂CSR調達ガイドラインの内容を含めた形で以下の通り定めています。

※1 生産パートナー
直接契約をしている一次取引先とその先の製品の組み立てを委託している協力工場や部材の調達先を含んだ任天堂の生産に関わる取引先。
任天堂の調達方針
  1. (1)購買は、国内外すべての取引先に対し公平な機会を設けるとともに、公正な評価のもとこれを行う。
  2. (2)購買に係る全ての活動において、法令・社会規範を遵守すると共に、人権や地球環境への配慮に努める。
  3. (3)適切な物品を適切な取引先より、適切な価格と納期で購入する。
  4. (4)取引先との相互協力、信頼関係の構築に努め、購買を通じて取引先と共に企業の社会的責任を果たす。
  5. (5)製品の調達およびその部材調達においては、「責任ある鉱物調達対応方針」を遵守する。
任天堂の取引先選定方針

製品の調達およびその部材調達においては、以下の条件を満たしている企業を優先的に選定し、継続取引の際も優先する。

  1. (1)法令、社会規範等を遵守し、人権や環境への配慮を重視していること。
  2. (2)経営状態が健全であること。
  3. (3)品質、価格、納期が適正水準にあること。
  4. (4)安定供給能力および需給変動に対する柔軟な対応力があること。
  5. (5)任天堂製品に貢献できる高度な技術力を有していること。
  6. (6)情報管理における適切な体制が整っていること。
  7. (7)災害等不測の事態においても、出来るだけ速やかに供給を再開出来る対応能力を有していること。

取引先評価・選定プロセス

取引先評価フロー

取引先評価フロー取引先評価フロー

CSR調達に関する対応組織

 任天堂(日本)では、CSR推進部門および調達活動の責任本部が協働して、外部動向の把握やステークホルダーとのコミュニケーションを行いながらCSR調達に取り組んでいます。活動の進捗は、適宜任天堂(日本)の経営層にも報告され、CSR調達にかかわるリスクを低減するために取り組むべき対応を協議しています。

CSR調達検討会における連携

 任天堂グループでは、各国のCSR調達に関する活動の情報をグループ全体で共有するため、CSR調達検討会を立ち上げました。この検討会では、世界各地の任天堂グループの関係者が集い、それぞれのCSR調達活動状況を共有するとともに、グループ全体での取り組みを協議しています。

2020年度実施活動に関して

書面調査

 生産パートナーにおけるCSRの推進状況を把握するため、すべての一次取引先に経営状況などとあわせてCSRの取り組み状況について年に一度「取引先実態調査表」にて報告をお願いしており、すべての一次取引先から回答いただいています。
 「取引先先実態調査表」では、任天堂のCSR調達ガイドラインもしくは同等の基準を適切に生産パートナーに共有し、労働者に周知できているか確認しています。
 また、生産パートナーの各工場におけるCSRの推進状況を把握するため、「工場実態調査表」にて工場レベルでのCSRの取り組み状況の報告をお願いしています。
 「工場実態調査表」では、強制労働や児童労働・差別が発生しないよう管理・確認しているかという人権に関する事項のほか、労働時間や賃金、妊産婦労働者や若年労働者の保護を含む安全衛生などについて、また、労働者が苦情を申し立てるための内部通報の仕組みについても確認しています。

実地調査

 「取引先実態調査表」の回答内容や取引の重要性、環境の変化などを考慮し選定した生産パートナーのもとに調達部門の担当者が直接赴く「実地調査」も2008年度から継続的に行い、関係資料の閲覧、生産現場や寮の視察を行い、人権の尊重、労働契約、差別や児童労働および強制労働の禁止、法定賃金の遵守、労働時間の管理、職場の安全衛生、またそれらの労働者への周知状況などについてサンプリングにより確認し、生産現場の実情や改善状況の把握に努めています。
 過去の実地調査では、長時間の時間外労働や連続勤務、有事における避難経路や設備(非常口ドアの向きや非常口表示)の不備などの改善を要請し、その後のフォローアップ実地調査でそれらの改善を確認しました。実地調査は実情把握にとどまらず、任天堂CSR調達ガイドラインの理解を深めていただくことや、生産パートナーのCSR活動に関する考え方を直接対話することによって相互理解する貴重な機会でもあります。
 2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で実地調査の実施を見送りましたが、生産パートナーとの間でビデオ会議の頻度を増やす等、コミュニケーションの取り方を工夫しながら、CSR活動の状況把握に努めました。

第三者監査

 実地調査に加え、第三者監査を行っており、CSR調達のさらなる透明性の向上に注力しています。「任天堂CSR調達ガイドライン」における人権および労務管理に重点をおき、これまでの実地調査および第三者監査の結果や取引状況等をもとに選定した主要生産パートナーを訪問しています。第三者監査では、管理者および生産現場で働く労働者への母国語でのインタビュー、関係資料の閲覧、生産現場や寮の視察を行い、人権の尊重、労働契約、差別や児童労働および強制労働の禁止、法定賃金の遵守、労働時間の管理、職場の安全衛生などについてサンプリングにより確認しています。
 2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、現地を訪問する代わりにリモートで監査を行う準備を進めました。2021年春に監査を実施し、現地の状況把握を行いました。

把握したリスクへの対処

 実地調査や第三者監査にて把握したリスクのうち、改善が必要な事項については生産パートナーに内容を共有し、是正を依頼しています。また、是正処置を行うために生産パートナーと協力しています。

CSR調達における仕組みの改善

  • 取引先評価手順の見直し(「工場実態調査表」の改訂によるリスク把握の強化を含む)
  • 実地調査手順の継続的な改善(マニュアルの作成を含む)
  • 実地調査の実施メンバーの継続的な育成(実地調査担当者の認定制度の整備を含む)
  • フォローアップの強化(フォローアップ基準の改訂を含む)
  • サプライチェーンの再評価
  • 任天堂CSR調達ガイドラインの改訂
CSR調達のしくみ
ガイドラインの
生産パートナーへの周知
「任天堂CSR調達ガイドライン」
書面調査による確認
「取引先実態調査」
「工場実態調査」
「責任ある鉱物調達に関する書面調査」
現地訪問による現状把握
「実地調査」「第三者監査」
「責任ある鉱物調達に関する実態調査」
改善に向けたフォローアップ
「実地調査・第三者監査結果のフィードバック」
「改善計画の確認」
「フォローアップ実地調査」
任天堂CSR調達ガイドライン
ガイドラインの項目 各項目に含まれる内容例

1.人権の尊重と
コンプライアンスの
推進

  • 人権の尊重
  • 差別の禁止
  • 児童労働/強制労働の禁止
  • 法規制の遵守(適切な賃金、労働時間、従業員の団結権)

2.労働安全衛生の確保

  • 労働安全衛生に関する法規制の遵守
  • 労働災害の未然防止
  • 安全かつ清潔な職場環境の構築
  • 未成年労働者の保護

3.企業倫理と公正取引の実践

  • 賄賂、不適切な利益供与および受領の禁止
  • 優越的地位の乱用の禁止
  • 競争制限的行為の禁止
  • 適切な輸出管理
  • 責任ある鉱物調達への対応
  • マネジメントシステムの構築
  • 不正行為の予防と早期発見
  • 知的財産権の保護

4.地球環境の保全

  • 環境マネジメントシステムの構築
  • 環境影響の最小化
  • グリーン調達の推進

5.製品安全性確保と品質保証

  • 品質マネジメントシステムの構築
  • 製品安全性の確保

6.情報管理の徹底

  • 情報管理体制の構築
  • 顧客/第三者の機密情報の漏えい防止

7.危機管理体制の確立

  • リスクマネジメント体制の構築
  • BCP(事業継続計画)の策定

8.社会への貢献

  • 地域社会への貢献

強制労働の禁止

 任天堂は、サプライチェーン全体において、強制労働や児童労働、囚人労働、奴隷労働、人身取引などを禁止しています。強制労働などの事実を発見した場合には、製造または取引を停止する方針です。
 任天堂は、2018年9月に、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき任天堂人権方針を制定しました。
 この任天堂人権方針は、任天堂に雇用されているすべての人に対し適用するとともに、サプライチェーンで社会的責任のある行動を実施するよう、取引先へも継続的に働きかけを行っていくと定めています。
 これまでに実施してきたデューデリジェンス(書面調査、実地調査、第三者監査など)において、人権侵害にあたるような事実や強制労働の事実は確認していません。
 今後も法規制を含む外部動向等を注視し、適宜、取引先様と必要なコミュニケーションや確認を⾏うことで、調達活動 にかかわるリスクを低減するよう対応していきます。

責任ある鉱物調達への対応について

 任天堂は、人権侵害や環境破壊、非人道的な武力行為に関わる組織の資金源となっている鉱物や、人権侵害・環境破壊を伴って採掘された問題のある鉱物を、社会的責任の観点から、当社製品には使用しないために、以下の取り組みを行っています。

任天堂の責任ある鉱物調達方針

任天堂は、責任ある原材料調達を実現するため、スズ・タンタル・タングステン・金・コバルト等の鉱物※2のうち、児童労働などの人権侵害、環境破壊、非人道的な武力行為等に関わる組織の資金源となっているものについては、社会的責任の観点から、当社製品に使用しないことを基本方針とし、「任天堂CSR調達ガイドライン」に記載の上、生産パートナーの皆様ご協力のもと、次の取り組みを行っていきます。

  1. 1.OECD(経済協力開発機構)の「OECD紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・デリジェンスガイダンス」等を参考に、当社製品に含まれる鉱物のサプライチェーンの把握に努めます。
  2. 2.取引基本契約書に「任天堂CSR調達ガイドラインの遵守」を盛り込むと共に、その他の機会を通じて、生産パートナーの皆様には任天堂の対応方針について周知を図り、これに従った取引を行います。また、このような鉱物を使用しないという方針を策定するよう求めていきます。
  3. 3.今後、RMI(Responsible Minerals Initiative)※3が取り組んでいるRMAP(Responsible Minerals Assurance Process)やその他のプログラムにより、紛争地域および高リスク地域で採掘された問題のある鉱物を排除するよりよい調達方法が確立された場合には、生産パートナーの協力のもと、積極的に採用していきます。
※2
「OECD紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・デリジェンスガイダンス」で紛争地域および高リスク地域であると特定された地域からの鉱物および社会的責任の観点から任天堂にとってリスクが高いと判断した鉱物
※3 RMI: Responsible Minerals Initiative
責任ある鉱物調達イニシアチブが主導する紛争鉱物に関する調査ツールの開発などコンフリクトフリー(紛争フリー)に向けた取り組みを推進するイニシアチブ。

https://www.responsiblemineralsinitiative.org/

責任ある鉱物調達に関する対応組織

 「責任ある鉱物調達対応方針」のもと、CSR推進部門に加え、調達部門などが横断的な調査体制で取り組んでいます。書面調査および訪問調査の結果については、任天堂(日本)の経営層にも報告され、責任ある鉱物調達に対応するために任天堂として取り組むべき対応を協議しています。

責任ある鉱物調達に関する調査に関して

 任天堂の製品には、電子部品や電子回路が使われており、これらにはスズ・タンタル・タングステン・金が使用されています。任天堂は、これらの鉱物が含まれる部材を調達しているすべての取引先に調査を行っています。
 2012年より独自のフォーマットで調査を開始し、2014年より国際標準のテンプレートを使用して、一次取引先からサプライチェーンをさかのぼって調査をしています。書面の回収率は100%で受領したすべての回答についてリスクの分析と評価を実施しその結果に応じて実態調査を行っています。
 2020年度は、2019年度に実態調査を行ったConformant Smelter(RMIの監査に合格している製錬業者)ではない製錬業者を利用していた取引先19社へ、調査の精度を上げていただけるようご協力をお願いしました。
 今後も任天堂は責任ある鉱物調達調査においてデューデリジェンスを継続して行います。該当鉱物についてConformant Smelterではない製錬業者を利用している取引先があればサプライチェーンをさかのぼって調査いただき、製錬業者へRMAP(Responsible Minerals Assurance Process)監査プログラムへの参画をお願いするよう働きかけていきます。そして万が一、問題のある鉱物が見つかった場合には、調達先の変更をするなど、問題のある鉱物の不使用に向けた取り組みを行います。
 また、任天堂はコバルトについても調査を行っています。コバルトは、リチウムイオンバッテリーに使用される重要な鉱物です。世界最大のコバルト埋蔵国として知られるコンゴ民主共和国の採掘現場では、以前から児童労働や劣悪な労働環境についての懸念が指摘されています。2019年度から、RMIが作成しているコバルトテンプレートを使用し、コバルトのサプライチェーンにおける流通過程の調査を行い、現状の把握に努めています。

調査結果への対応と改善

 責任ある鉱物調達調査および実態調査の結果については、任天堂(日本)の経営層に報告され、責任ある鉱物調達に対応するために任天堂として取り組むべき対応を協議しています。また、実態調査を行った生産パートナーには、継続的なフォローアップをしています。

RMIの標準製錬業者リストにおいて特定されている製錬業者数

  タンタル スズ タングステン コバルト 合計
標準製錬業者 109 38 64 44 11 266
うちConformant Smelter
(RMIの監査に合格している製錬業者)※4
(Activeリスト※5標準製錬業者を含む)
109 38 64 44 11 266
※4 Conformant Smelter(RMIの監査に合格している製錬業者)
RMIが主導する紛争フリー製錬所プログラム評価プロトコルに準拠しコンゴ民主共和国および周辺諸国における紛争に無関係であると認められた製錬業者。
※5 Activeリスト
RMIの監査もしくは他の認証プログラムの監査を受ける手続きを行っている製錬業者のリスト。