4. 汽車をカスタマイズ

岩田

サブタイトルに『大地の汽笛』とつけたのは
どうしてなんですか?

青沼

岩本ディレクターの名前からなんです。
『大地の汽笛』を略すと「だいき」なので。

岩本

いや、本気にしないでください。
そうじゃありません(笑)。

岩田

(笑)

青沼

そもそも『汽笛』はすぐに決まったんです。
もちろん汽車の汽笛の意味がありますし、
今回も『ゼルダ』特有の音ネタが入っているんですね。

岩本

今回はんです。

※11

パンフルート=パン・パイプとも呼ばれ、世界最古の楽器と言われる。葦や竹、木材などでつくられ、世界各地に伝わるが、現在ではとくにルーマニアやアンデスのものが有名。

青沼

そこで、『○○のパンフルート』みたいな
サブタイトルも考えたんですけど、ちょっと長いですし、
そもそもパンフルートが使えるとは言っても、
メインのアイテムでもないんですね。
で、汽車と言えばやっぱり「汽笛」ですし、
パンフルートは「笛」なので
通じるところがあるんじゃないかと。

岩本

それで『汽笛』を使うことは決まったんですけど、
『○○の汽笛』の○○をどうするかで
すごく悩んだんです。

青沼

で、先に北米版のサブタイトルが
『Spirit Tracks』と決まりまして、
スピリットは魂の意味ですから
そこから持ってくると『魂の汽笛』。
でもそれってなんか変なモノが出てきそうな感じで(笑)。
もともと、広いところを
汽車を走らせて気持ちがいいゲームをつくっているのに、
「それは、ちょっと違うよね」という話になりまして。

岩本

そこで最終的にはスタッフから案を募って
ホワイトボードに書き込んで、
そのなかから絞り込んでいったのが
『大地の汽笛』だったんです。

青沼

最後の決め手になったのは音ですね。
「だいちのきてき」と口に出したときに
すんなり言えるという。

岩本

しかも難しくもなく。

青沼

そこで、僕らのなかで『大地の汽笛』と決まって、
宮本さんにメールで「どうでしょう?」と聞いたんです。
すると答えはひとことだけ、「いいと思うよ」と。

岩田

「いいと思うよ」とひとことの返事が返ってきて
どう思ったんですか?

青沼

「いいと思うよ」というのは
すごく突き放されたように感じたんです。
そこで「適当に答えてませんか?」と問い直したら
「そんなことはない。すぐにいいと思ったから、
『いいと思うよ』と返してるの!」と(笑)。

岩田

ダメなときはダメって言うでしょう(笑)。

青沼

確かにダメなときは
もっとぐちゃぐちゃ言われます(笑)。

岩田

本当にダメなときは
いっぱいなぜダメかという理由がありますけど、
いいときは、いい理由を別に言う必要はないですから。
でも、何も言われないとやっぱり不安なんですよね。

青沼

そうなんです(笑)。
『New スーパーマリオブラザーズ Wii』(※12)
宮本さんは忙しかったりしましたし。

※12

『New スーパーマリオブラザーズ Wii』=2009年12月3日に、Wii用ソフトとして発売されるアクションゲーム。

岩田

だから上の空なんじゃないかと?(笑)。

青沼

でも、そうやって『大地の汽笛』に決まって
僕らのなかでは何の違和感もなく、すぐになじみました。

岩本

なじみましたね。しかも、パンフルートも
「大地の笛」と呼ぶようにして。

岩田

そうか、「大地の笛」なんですね。

青沼

それに、舞台になるエリアも
それぞれを「○○の大地」と呼ぶようにして、
海のところは「海の大地」なんです。

岩田

「海の大地」・・・?

青沼

海なのに「大地」なんです(笑)。

岩本

「海の大地」というのは
どう考えてもおかしいと言われたんですけど、
徹底して統一しましょうと。

岩田

ちなみに、今回の『大地の汽笛』には
パンフルートが入ってるという話ですけど、
どうして『ゼルダ』には毎回のように音ネタが入ってるんですか? 
これ、わたしにとって長年の謎なんです。
サウンドスタッフも謎づくりに参加するからなんですか?

岩本

毎回、音ネタが入ってるわけでないんです。
前作には入っていませんでしたし。

岩田

ああ、確かにそうですね。
オカリナとかタクトには出てきましたが
必ずというわけではないんですね。

青沼

やっぱりサウンドチームから
「今回はこんなことをやってみたい」という
強いアプローチがあったときに、
そこからできていくことが多いですね。
だから、彼らとしても『ゼルダ』だから
なんか音ネタをやろうよ、みたいな気持ちが
きっとあるんだと思います。
今回のケースで言いますと、
わりと序盤からパンフルートをやろうという話がありまして。
それに、今回はマイクの入力を
かなりフィーチャーしてますので、
その流れとうまく合致したという感じなんです。

岩田

マイクを使ってる場所が多いんですね。

青沼

ええ。
でも、あんまり根を詰めてやると
息切れしたりしますので。

岩本

なので、そーっと吹いてください(笑)。

岩田

強く吹く必要はないんですね。

青沼

はい。しかも今回は、
サウンドチームががんばってくれてまして、
いろんな汽笛の音も楽しめるようになったんです。

岩田

いろんな汽笛の音というのは?

青沼

今回もすれちがい通信ができて、
汽車のパーツ集めができるようになっているんです。

岩本

前作では船のパーツ集めというのをやっていて、
自分のところにいらないパーツが集まるので、
自分の手に入らないパーツと
それを交換して入手するという遊びがあったんです。

青沼

でも、今回はちょっと違うんです。
「おたから」というのがありまして、
いろんな種類のお宝を集めることができるんですけど、
ある種類のお宝をいくつという決められた数を集めて
初めて汽車のパーツに替えることができるんです。
しかも、集まるものが
人によって変わったりします。

岩本

お宝が、人によってランダムに出てくるんです。

青沼

自分が集めやすいものは
だいたい集まるんですけど。

岩田

すれちがい通信をすると
それらを効率よく集められるんですね。

青沼

そうです。
で、今回の汽車は本体と砲台と、
それから客車と貨車という4つの車両に分かれてますので、
それぞれをカスタマイズできるようになります。
そこでいろんなバリエーションが楽しめるんですけど、
なかには本当にすごいものができるんです。

岩本

あれは本当にすごいですよね(笑)。

青沼

本当にビックリしますよ。
「これ、汽車じゃないだろう!?」と
そんなものにもカスタマイズできちゃいますから(笑)。

岩田

それで、汽笛の音も変わるんですね(笑)。

青沼

そうなんです。
ふつうの汽笛は「ポー」ですけど、
すごい汽笛の音も聞けるようになります。

岩本

この音は汽笛じゃないだろうとか(笑)。

青沼

もはや汽車じゃないんで、
汽笛の音じゃなくてもいいんですけど(笑)。
というくらい、楽しい遊びもできますので
すれちがい通信もぜひ楽しんでいただきたいですね。