株主・投資家向け情報

2008年4月25日(金)決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡 講演内容全文

さて、この機会に私達のビジネスの足下の状況についてご説明しておきたいと思います。


まず、ニンテンドーDSについてです。日本に住んでいらっしゃる皆さんの最大の関心事は、


DSの勢いが弱まっているのではないか、というご懸念ではないかと思います。史上最速のペース、発売3年あまりで2,200万台以上を販売し、日本のゲーム史上で最も普及したプラットフォームとなったニンテンドーDSですが、昨今、以前のような勢いが見られなくなったとご指摘を受けております。


これは、年明け以降の日本の各週の携帯型ハードの販売数を昨年と今年で比較したものです。
昨年のDSハードは、薄いピンク色で示されていますが、週10万台を下回ることはほとんどありませんでしたし、週に15万台以上売れる週も珍しくありませんでした。
しかし、濃いピンク色で示される今年のDSハードの販売は、確かに、昨年を大きく下回っています。
また、特にこの1ヶ月ほどは、黒い線で示されるソニーさんのPSPに大きなリードを許しています。
このような現象は、「普及の限界に達したのではないか」という受け止められ方もあると思います。先ほど、今期の業績予想として、DSハードについては2,800万台の出荷を計画しているというお話をしましたが、「こんな状況で、今年度2,800万台の販売目標は強気過ぎるのではないのか」というご心配をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、日本市場に見られるこのようなトレンドは、世界的には全く当てはまらないものになっています。


※年表記の間違いを修正いたしました。(2008年5月7日)

このグラフは、NPDデータによるDSとPSPの各月の販売数を元に、昨年と今年の1〜3月のアメリカ市場における1週間あたりの販売数の推移を示したものです。
NPDデータは月によって4週間の集計と5週間の集計の月がありますが、このように1週間あたりの販売数に変換することで、販売ペースの変化を正確に見極めることができます。
アメリカでは、昨年も今年も1月にはDSはかなり深刻な品切れ状態でしたので、2月以降の数字を見ていただきたいのですが、DSは昨年以上の推移となっていることがおわかりいただけるかと思います。


DSの好調がより顕著なのがヨーロッパです。
これは、ヨーロッパの主要国のデータを元に、昨年と今年のヨーロッパ全体の各週の販売数を推定して比較したものです。
ご覧いただいているように、現在のヨーロッパは、日本のDSが最も勢いよく売れていたときを超える販売ペースになっています。このような、アメリカやヨーロッパにおける、DSの勢いを支えている要因の1つは、


2005年に発売した『nintendogs』です。
このソフトは、日本ではあまり大きな伸びは見せていないのですが、アメリカやヨーロッパでは、本当に長期間にわたり安定して売れ続けるソフトになりました。


このように、アメリカやヨーロッパでは、発売から2年半以上経過しましたが、今もハードを牽引するソフトとして、安定して売れ続けています。前期末の世界累計の販売数は1,867万本に達しました。また、もう1つの要因は、


アメリカやヨーロッパで2006年に展開された、脳を鍛えるソフトです。
日本で脳トレブームが巻き起こったあとでも、本当にこのようなソフトがアメリカやヨーロッパで受け入れられるのか、と懐疑的な見方の方がむしろ多かったように私は感じていたのですが、結果はそれを良い意味で裏切る展開になりました。


このように、アメリカ市場の200万本(グラフの青色の線)という結果も、事前にアメリカのゲーム業界の誰も予想できなかった大ヒットと言えるのですが、ヨーロッパにおけるこのソフトの伸びは(グラフの緑色の線)、脳トレ発祥の地である日本の実績を遥かに超えてしまい、しかもこれからもまだまだ伸びていく勢いがあります。前期末の世界累計出荷本数は1,298万本に達しました。



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