株主・投資家向け情報

2011年1月28日(金)第3四半期決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡 講演内容全文

おしらせリストは、「いつの間に通信」や「すれちがい通信」などで受信した情報等を見ることができる機能です。


スリープ中に新しい情報が届くと、おしらせランプが緑色に点灯します。


また、HOMEメニューでも、新しい情報があるときには、おしらせリストのアイコンが変化して、知らせてくれるようになっています。

また、実際に、新しい情報が届いたソフトには、このように情報が届いていることを知らせる印もつきます。


また、本体発売時から、「すれちがい通信」、「いつの間に通信」が利用できますけれども、「いつの間に通信」による本体の自動更新、あるいはソフトの自動ダウンロードについては、今後の本体の更新で順次利用可能となる予定です。


2010年は、3D元年と言われただけではなく、ソーシャルネットワークやソーシャルゲームという言葉が、社会的に話題になった年でもありました。ビデオゲームにおいてもソーシャルな遊びの要素が新しい基軸として盛んに報道されるようになりましたが、


そもそも、ビデオゲームにおけるソーシャルな遊びというのは新しい要素だと言えるのだろうか、ということについては、私たちは疑問を感じています。
任天堂は、ビデオゲームにおけるソーシャルな遊び、ということについては、古くから取り組んできた会社でもあります。
ソーシャルな要素というと、コンピューターのネットワーク接続による人と人との関わりだけに幅を狭めて考えられがちなのですが、本来、ソーシャルな遊びというのは、他の人と関わることによって、遊びが社会性を持ち、より面白くなることに本質があると思います。
ファミコンに最初から2つのコントローラがついていて、ニンテンドウ64ではいち早くコントローラが4つつながるようになったこと、ゲームボーイの通信ケーブルで対戦の『テトリス』ができ、そして後に『ポケモン』でその通信機能を活かした対戦と交換という軸が実現されて、それが段階的にワイヤレスになって今日に至っていることなども、そのひとつです。
『ポケモン』はまぎれもなくソーシャルな遊びとして世界に普及したと言えるでしょうし、『マリオカート』や『スマッシュブラザーズ』の4人対戦、そして、一昨年の『トモダチコレクション』や4人同時プレイの『Newスーパーマリオ』など、どれもが、人と人とのかかわり合いの中で楽しさがより大きくなる仕組みが積極的に取り入れられており、ソーシャルな要素というのは、任天堂にとって、本来、何ら新しいことではないわけです。
また、ニンテンドーDSやWiiが普及していく過程でも、まさに、お客様が周囲のお客様を誘っていただくことで、これまでビデオゲームに触れた経験がなく、ゲームに興味をお持ちではなかったお客様が参加するきっかけになったということは、みなさん周囲で多くの事例を経験されたのではないでしょうか? これも、まさしく、現実の人と人とのつながり、ソーシャルなつながりによって、製品の価値がクチコミで伝わっていった事例だと思います。

昨年9月にニンテンドー3DSに関する発表会をさせていただいたとき、ニンテンドー3DSの普及への課題として、


「裸眼立体視は体験しなければその価値が実感できない」ということを申し上げました。
既に、国内では、1月8日〜10日のニンテンドー3DS体験会に端を発して、ニンテンドー3DSの体験機会を積極的に設けていますし、ご覧いただいたお客様の反応は、ありがたいことに、総じて、大変良いようです。先日から予約を開始しましたが、本体の予約も好調に推移しています。
既に新しい体験機会の場として、アウトレットモールでの取り組みも始めておりますし、店頭での試遊体験環境についても、順次整備を進めています。ほかにも、ニンテンドー3DSの立体映像のデモを全国数カ所の駅で展示するということも計画していますが、任天堂がいかに努力をしても、発売前に実際に体験していただけるお客様の人数には限界があります。
9月の発表会でもお話しした通り、任天堂は、この課題に対して「すれちがい通信」「いつの間に通信」などを活用して


「持ち歩く、響き合う、毎日が新しい」というコンセプトで取り組もうとしています。
これは、ニンテンドー3DSが携帯型のゲーム機であり、どこにでも持ち歩いていただけることが、通信との組み合わせで遊びの幅を広げることをご提案すると同時に、その持ち歩いていただいたニンテンドー3DSを、周囲の方と一緒に楽しんでいただくということも併せてご提案していきたいと思っています。


ニンテンドー3DSには、『ニンテンドー3DSカメラ』、『ARゲームズ』、『顔シューティング』など、多くの内蔵ソフトが用意されています。
これらの内蔵ソフトは、お客様ご自身でお楽しみいただけるのはもちろんですが、ニンテンドー3DSを持ち歩いていただいたお客様が、周囲の方々と一緒にニンテンドー3DSを楽しんでいただけるような内容になるように仕上げたつもりです。これによって、実際に体験しないとわからない裸眼立体視の魅力も自然に伝わっていくことを、私たちは期待しています。「本体発売と同時期に発売されるソフトの中に、幅広いお客様にアピールするソフトが足らないのではないか」という声があることも耳にしておりますが、私たちは、それらを最初に実現するソフトを本体に内蔵させて全員にお渡しすることで、ニンテンドー3DSを自然と、周囲の方と一緒に楽しんでいただける流れを生み出すということを目指しています。

ここで重要な働きをするのが、Wii登場時に提案したMiiという似顔絵キャラクターです。このMiiは、『トモダチコレクション』にも登場し、多くのお客様が親しみを持ってくださっています。


ニンテンドー3DSには、「すれちがい通信」を使って、このMiiを集める遊びである『すれちがいMii広場』という内蔵ソフトを搭載しています。これは、ニンテンドー3DS所有者全員が参加できる「すれちがい通信」の遊びです。
このソフトを一言で表すと、他のニンテンドー3DSとすれちがうことで、Miiを集めることができるソフトということになります。また、それだけではなく、Miiを集めるついでに楽しめる、ちょっとした遊びが2つ入っています。そのうちのひとつは、『すれちがい伝説』と呼んでいるものです。
これらの遊びは、それ単独ではゲームとは言えないくらい、本当にシンプルでちょっとした遊びですが、「すれちがいによって発生する不思議な魅力がある」というのが、実際に触れてみた実感です。実は、任天堂社内でも、このソフトのテストのために開発者が開発用のニンテンドー3DSを持ち歩いているんですが、社内でMiiを集めるために意味もなくうろうろしたり、会議中にこっそり3DSを開く人が何人も現れたりしています。実は、私もその一人です。

ちなみに、都会には住んでいないため、他の3DSと「すれちがい通信」をする機会があまりないのではないか、そうなるとこの遊びも楽しめないのではないか、と心配する方がいらっしゃるかもしれません。直接「すれちがい通信」ができなくても、ニンテンドー3DSに内蔵されている歩数計を利用して、歩くと貯まる「ゲームコイン」というものを使うことで、この『すれちがいMii広場』に内蔵されている遊びをお楽しみいただけるようになっています。



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