そういえば、タヌキで思い出したんですけれど・・・
この間のカンファレンス^（※14）で流れたビデオに、
しっぽの生えたクッパがいましたよね。
わたしもそのときにはじめて見たもので、
「何だこれは！？」ってビックリしたんです（笑）。

（笑）

「どういうこと？
　いろいろなクッパが出てくるの？　」
と困惑しました（笑）。

ああ、もうそのツッコミが、
うれしくてたまらないですね。

しっぽクッパの話を訊かせてください。
どうやってしっぽクッパが生まれたのか、
許可はどうやって取ったのかとか・・・。

許可は・・・そうですね・・・。
結論から言うと、「生やしちゃえ、生やしちゃえ」のノリです。

（笑）

「生やしちゃえ、生やしちゃえ」ですか？（笑）

はい。まず、しっぽというものの前に、
タヌキマリオがいたんです。
「どういう風にデザインをまとめていくか？」
「新しい軸がほしいな・・・」と考えていたときに、
「クリボーにしっぽをつけよう」と思ったんです。
クリボーにしっぽを生やしたイラストを描いて
敵キャラクターのデザイナーのところに行ったら、
「ちょうど僕も（しっぽをつけようかと）考えてました」と。

え？ 偶然の一致なんですか！？

はい。そのデザイナーに、
「林田さんに聞いておいてください」って頼んでおいたら
林田さんも・・・。

「いいね！」と即答しました。
「生やしちゃえ、生やしちゃえ」って言ってました（笑）。

それが「生やしちゃえ、生やしちゃえ」ということなんですね（笑）。
でもやっぱり、クリボーにしっぽを生やすのと、
クッパにしっぽを生やすのとでは、
ちょっと段階が違ってくるんじゃないですか？

そうですね。ただ、マリオにしっぽが生えている時点で
いちばん高いハードルは越えているんです。
初代『スーパーマリオ』に、
「 クッパにファイアボールを当てると、
じつはクリボーだった！」・・・というネタが入っているので、
それをオマージュしたいと思って。
クリボーが「スーパーこのは」を使って変身して、
しっぽクッパになっていることにしようかな、と。
それでしっぽクッパができました。

なるほど。それをドキドキしながら、
宮本さんにプレゼンしたんですね。
宮本さんはどうでしたか？

意外と普通に・・・ＯＫでしたね。

（笑）

２Ｄマリオをメインに手がけている手塚（卓志）さん^（※15）からも、
「もっといろいろなものに生えてたらいいのに」
というコメントをもらいました。

手塚さんも「生やしちゃえ、生やしちゃえ」なんですね（笑）。

気がついたら、
担当のデザイナーが、 キラーとか、ドッスン、
テレサにも生やしてました。

ちなみに、ロゴにまで生やしたのは、
一連の設定が決まった後だったんですか？

いや、決まる前です。

そうなんですか！
いや～、しっぽに導かれてますねえ（笑）。

ロゴは、 『マリオ３』^（※16）のロゴに生えていた、
しっぽのシルエットが元になっています。

確かにロゴを見ると、
これは『マリオ３』と関係があるのかな？
と思いますよね。

そうなんです。宮本さんは
「タヌキマリオといえば『マリオ３』だし、
　今回ハードが『3DS』だし、
　『スーパーマリオ3DS』とかいうタイトルになったら
　ピッタリはまるんじゃない？」と・・・。

え？ ダジャレですか！？

（笑）

あと、「タヌキマリオが出る」という話をすると、
必ず聞かれるのが「地蔵は出るんですか？」ということなんです。

それから林田さんが呪文のように
「地蔵、地蔵」と唱えるので入れました・・・。

これも「入れちゃえ、入れちゃえ」ですね（笑）。

でも今回、「地蔵を入れてほしい」と言われて、
いちばん困ったのはプログラマーの菅原さんなんです。

地蔵になったときって、
敵キャラクターが追いかけて来ないんですね。
クリボーなんかはマリオを追いかけてくるんですけど、
地蔵のときに追いかけてくるのはやっぱりおかしい。
だから、 敵キャラは地蔵を無視するという、
大改造を入れなくてはならなくて・・・。

全システムに影響が及んでしまったんですね。

そういうことを何回もくりかえしつつ・・・。

そういうことをさらっと頼むんですよねぇ。

しかも今回は、３Ｄマリオでは初なんですが、
なんと変身を次のステージに引き継げるんです。
そのため、すべてのステージで、
地蔵の反応をつくらなくてはならないんです。

そうなんです。海に出るはずのウツボに、
地蔵がぶつかったらどうなるかとか、
いままでは絶対に考えなかったことを
いろいろと突っ込まれて。
「地蔵でヒップドロップしたら、
　ウツボは倒せるんですか？」とか。

（笑）

そういうのもつくらないといけなくなるんです。

頼もしいですね、プログラマー。
菅原さんに謝るならば、
この場を借りて謝ったほうがいいですよ（笑）。

ええ、プログラマーのみんなは本当に大変だったと思います（笑）。

地蔵マリオのほかにも、今回は追加で
「ブーメランマリオ」と
「プロペラボックス」をつくってもらいました。
ブーメランマリオは『マリオ３』の
「 ハンマーマリオ」^（※17）へのオマージュなんです。
このブーメランは、ファイアとは違って
敵を貫通して戻ってくるのが特徴で、
一度投げて、もし外れてしまっても
マリオの方に向かって戻ってくるので、
敵に当たりやすいという性能があります。

それに、なんと マリオが自分で取れないスターメダルを
ブーメランが回収してくれるという、
便利な機能もつけてもらっています。

ちなみに、「プロペラボックス」は
ビジュアル的におかしいんですけど、
「プロペラボックス」という箱をかぶっているようにしています。
３Ｄ空間との相性も良いので、ぜひ遊んでみてほしいです。

「ビジュアル的におかしい」って・・・、
元倉さんがつくりたかったんじゃないんですか！（笑）
『ギャラクシー』の頃から、「箱マリオ、箱マリオ」って
つぶやいてましたよね。

あ、そうでした（笑）。