開発者寄稿コラム 日本でゲーム作ってます。

まずはスチームパンクのことを 第一回~はじめまして

こんにちは、(株)インテリジェントシステムズのパウロ・パトラシュクと申します。ルーマニアで生まれ育った私ですが、さまざまな縁あってこの日本でゲームを作っています。とうとう、ディレクターをつとめました『Code Name :S.T.E.A.M. リンカーンVSエイリアン』を世に出す幸運に恵まれたわけですが、それにあたり、日本のみなさまにぜひ知っておいてもらいたいな、と思うことがありまして、筆を執らせていただきました。それは、このゲームにぎゅうぎゅうと詰め込まれた、愛すべきサブカルチャーについてです。まず、アメリカやイギリスで生まれ、世界で愛されている「スチームパンク」という文化が、このゲームの大きな柱のひとつになっています。スチームパンクってなんだ? と思われる方もいると思いますので、先人の意見をふまえつつ、私なりにまとめますと、こんな感じになります。存在したはずのない科学技術、もしくはオカルト・魔法的な力に支えられた、高度に工業化された過去を舞台とする、SF(サイエンスフィクション)の一種え、わかりにくかったですか? すみません。いろんな例外が出るのを覚悟でもっと具体的に説明しますと、19世紀(日本は江戸時代終わりから明治ですね)のアメリカやイギリスを舞台にした、「蒸気機関」がウソみたいに発達した空想の世界のことです。蒸気機関っていうのは、お湯を沸かした蒸気の力でモノを動かす仕組みのことですね。ヤカンでお湯を沸かすと、すごい勢いで蒸気が噴き出るでしょう? そこに風車をかざすと、クルクルクルクル回り続けるはずです。(熱いからマネしなくてよいですよ。)みなさんが子供のころ大好きだった蒸気機関車も、そういう蒸気の力で動いてたんですね。(私は今でも機関車大好きです。)先ほど、19世紀は、江戸時代の終わりごろと書きましたが、江戸時代が終わったきっかけも蒸気の力なんですよ。1853年にペリーさんというアメリカ海軍の司令が日本にやってきたわけですが、彼が乗っていた軍艦も蒸気船。つまり、お湯を沸かしてはるばる太平洋を越えてきたんですね。あれ、ちょっとマニアックすぎましたか?スチームパンクというのは、その「すごいんだけど、なんだか古めかしい」蒸気機関が、もしも、もっと発達したらどんな世界になるんだろう? 飛行機や巨大メカも、蒸気で動くように設計したらどうなるんだろう? そこで冒険したらどんなことが起きるんだろう? というお話です。蒸気機関は、19世紀の人たちにとって、夢の装置だったから、蒸気の力で海底や宇宙まで行けるような、そんな未来を思い描く人もいたわけですけど、もしもそれが本当になったらちょっと面白そうでしょう?私のお話も、少しは楽しそうに思えてきましたでしょうか?(そうだと嬉しいのですが)ちょっと長くなったので、今日はここで失礼したいと思いますが、実はもう何回か、こうして筆を執る機会をいただけそうです。次回は、ちょっと寄り道になりますが、スチームパンクの歴史についてお話ししたいなと思っています。次の寄稿は、5月1日頃になりそうです。また読みにきてくださると嬉しいです。