職種紹介

制作企画系の仕事

制作企画系で入社された方は、まずはプランナーとして、制作現場でのさまざまな仕事を通じて経験を培っていきます。また、デザイナーやプログラマー、事務系社員のなかで、資質が認められて制作企画系の仕事に就くこともあります。ここでは、制作企画系の業務内容やキャリアについて、理解を深めていただくため、プランナーとして異なる経歴を持つ社員を紹介します。

天野裕介 2003年4月入社

プランナーとは、ゲームの内容をどういうものにするか、どうしたらおもしろいものになるのか、ということを考える職種です。ただ、デザイナーもプログラマーも、そしてサウンドスタッフもプランニングすることがあります。任天堂のゲーム開発では、どのような職種であっても、アイデアを出すことが求められるんですね。そんななか、専任のプランナーの役割は、自らがアイデアを出すのはもちろんのこと、それぞれの職種から出てくるアイデアが、ゲームのなかでどう機能するかを判断したり、よりおもしろいものにするために、複数のアイデアをくっつけたりするような、調整の役目も担っています。

ただ、プランナーとして入社した私が、すぐにそのような仕事ができたわけではありません。最初に関わったのは、ゲームボーイアドバンスで発売された『スーパーマリオアドバンス4』だったのですが、開発の終盤だったこともあり、ローカライズの窓口業務の仕事などを任されました。それは、日本語のテキストを外国語に翻訳するために、表計算ソフトに入力するという単純な作業だったのですが、そもそも自分はそのソフトを使ったことがありませんでしたから、まずは表計算ソフトの使い方を勉強することから、私の開発者人生はスタートしたのです。

『スプラトゥーン2』~新しいモードを考える仕事~

その後も、さまざまな『マリオ』シリーズの開発に関わり、ニンテンドー3DSで発売された『New スーパーマリオブラザーズ2』では、初めてディレクターを担当することになりました。そのときに、責任を持って、チーム全体をとりまとめるという仕事を経験したことで、すごく大きな自信になりました。そして、その経験を買われて、Wii Uの『Splatoon(スプラトゥーン)』のディレクターを担当することになり、それに続くNintendo Switchの『スプラトゥーン2』の開発では、プロデューサーのサポートをしつつ、新規要素のディレクションを担当しました。

1作目の『Splatoon(スプラトゥーン)』では、「ナワバリバトル」と「ガチマッチ」という2種類の4人対4人の対戦が楽しめましたが、『2』では、それに加えて、オンラインを使った協力モードの新しいゲームを考えることになりました。もともと私は、ゲームボーイアドバンスの『ゼルダの伝説 4つの剣+』の開発にも関わったことがあり、4人で協力プレイをするときに、どうすれば楽しめるようになるかについては、自分のなかでは理解できていたつもりです。でも、だからといって、企画がすんなりまとまっていったわけではありません。ひとつのモードを新しく作ろうとすると、あれもしたいし、これもしたいし、ということで悩むことがすごく多かったんです。

  • 新しく制作するモードの概要を図にして、チーム全体に共有する。
  • 遊びの内容を実際にテストしながら検証結果を全体で共有し、課題と仕様を整理する。
  • インゲームの遊びだけでなく、ゲーム全体の中で、どういった流れで遊びが機能するか整理する。

たとえば10個のステージを作り、それを4人で協力してクリア、みたいなモードも考えたこともあります。でも、そうすると、はじめの1週間くらいで遊び終えてしまうんです。自分としては、長い間、何度も繰り返し遊んでいただけるモードにしたいと考えていましたので、それを実現するには、どうしたらいいのか、というところで解答を見つけるまでに、すごく時間がかかることになりました。

そこでヒントになったのが、おなじみの麻雀です。麻雀では、プレイヤーが最初に手にする牌はランダムですので、それを見てから戦略を練ることの楽しさが生まれます。そこで、新しい協力モードでも、武器やステージなどをランダムに出すようにしました。次に何が出てくるかわからないようにすることで、毎回プレイ体験が変わりますし、その結果、麻雀と同じように何度も遊べるモードになると考えました。

  • ある程度遊びが固まってきたところで、各内容を確定事項としてまとめていく。
  • 実際に完成させるため、ゲームフローの細かい部分まで詰めて、ゲームシステムに不整合が無いか整理する。

プレイヤーに飽きさせないように

この新しい協力モードは、「サーモンラン」という名称にしました。ただ、1作目でおなじみになった「ナワバリバトル」とはまったく異なるゲームです。ですから、いきなり遊んでくださいと言っても、お客さんにはすぐに共感されないだろうと思っていました。しかも、「サーモンラン」はいろいろと実験をしながら作っていたのですが、最終的にどのようなかたちにすればいいのか、スタッフたちにもよく理解されていなかったのです。そこで私は、コンセプトを明確にするために、「バイトマニュアル」という企画書を書くことにしました。『スプラトゥーン2』というゲームのなかで、「サーモンラン」を1本筋が通ったモードにするために、複数人での協力プレイを、アルバイトに見立てることにしたのです。その「バイトマニュアル」を元に、映像も作成し、お客様が遊ぶ前に見ていただくことで、スムーズに「サーモンラン」の世界に入っていただけるようにしようと思ったのです。

ゲームの内容をお客様に伝えるための、さまざまな検討資料

私が任天堂で働きはじめて、先輩からよく言われたのは「ゲームを遊んでいる最中に、プレイヤーに飽きさせないようにしろ」という言葉です。それはずっと昔に聞かされたことなのですが、この言葉は、私の心にずっと残っています。プランナーやディレクターとして、おもしろいアイデアを思いつくことはすごく大事なことです。でも、プレイヤーの感情移入を阻害する要素をなくすことも、それと同じくらいに大事なことだと思いながら、私はこの仕事を続けています。