職種紹介

サウンドの仕事効果音制作(サウンドデザイン)

ゲームにおける効果音

音楽がゲーム全体を包み込む表現を担っているとすると、効果音は一つひとつがゲームの世界を構成するパーツそのものといえます。
ユーザーの操作に対して、その操作が受け付けられたことが効果音やグラフィックではっきりと示されると、ユーザーは「狙いどおりの操作ができているのか?」「ゲームにちゃんと参加できているのか?」といった不安を感じることなくゲームプレイに専念することができ、そこに独特の「手応え」が生じます。
この「手応え」は、感覚的な刺激と状況の説明が一体となったもので、これらをユーザーの聴覚に届けることが効果音の最大の役割といえます。

一つのゲームに使われている効果音の数は非常に多いのですが、その中でも、ボタンを押したり主人公が歩いたりする場合などの、ユーザーの操作に直結する効果音は全体の印象に大きく影響します。

はっきりとした手応えを出しつつ、頻繁に鳴ってもユーザーを不快にさせず、その意味や魅力を保つために、サウンドデザイナーは音をデザインする技術や感覚をフル稼働させて効果音の制作に取り組みます。

Nintendo Switch本体機能より

効果音には、ゲーム世界の感触をユーザーに伝える力もあります。
たとえば、ゲームの中で何かを叩いたときに、それが硬いのか柔らかいのか、壊れやすいのか壊れにくいのか、といった情報をユーザーへ瞬時に、ありありとした感触をもって伝えることができます。
これはBGMでは担うことのできない部分で、グラフィックよりも直接的に機能する、効果音特有の力です。

Nintendo Switchソフト
『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』より

効果音はゲームのキャラクター表現にも密接な関わりがあります。
キャラクターの発する声や仕草に伴う音は、そのキャラクターの性格や状況を示す役割を担っています。
たとえば、現実世界には存在しない生物がゲームに登場する場合、その生物の生態や行動パターンをユーザーが想像してくれそうな音を、サウンドデザイナーは想像力を膨らませて作ります。
獰猛(どうもう)なのか温厚か、警戒すべき状態か攻撃するチャンスか。その生物の様子を知るための手がかりをユーザーの聴覚に届ける役割が効果音にはあるのです。

Nintendo Switchソフト
『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』より

効果音の作りかた

ここまで見てきたように、効果音には幅広い役割がありますが、それを表現するためのアプローチもさまざまな手法があります。

PCを使った音作り

DAWや波形編集ソフト、エフェクターなどを駆使して音を作りこんでいきます。元となる素材はシンセサイザーやソフトウェア音源、音の素材集など多岐にわたります。

マイク録音による音作り

ゲーム世界の感触を伝える音作りには、効果音制作者が自分で簡単な材料や道具をそろえて実演する、いわゆるフォーリー録音が効果的なことも多いです。
といっても、ゲームでは現実にはなかなか起こりえない状況も多々あります。
求める音を作り出すために、身近にあるものを使ったり、マイクの使い方を工夫したり、といったところの工夫にも、効果音制作者の想像力やアイディアが発揮されます。
また、録音した素材をそのまま活かすだけではなく、編集や加工のやり方によっては意外な表現を生み出すこともできます。

リアリティーのある音の素材を求めて、時には効果音制作者がマイクを担いで会社の外に出かけることもあります。『マリオカート8』では、サーキットで本物のカートのエンジン音を収録しました。

声を使った効果音

ゲーム中のキャラクターのセリフや掛け声をプロの声優さんにお願いすることもありますが(くわしくは後述)、時には、身近な人の声を使うこともあります。
さまざまな歓声やざわめきの種類が必要になり、周りのスタッフに声をかけて、みんなでスタジオ録音、ということもありました。

また、サウンド担当者が自分の声を素材に使って試行錯誤することもめずらしいことではありません。
実は、あのキャラクターの声はあの人がやっていた……ということもあります。

スタッフによるヨッシーの声の録音風景

ゲームによっては、現実にはない架空の言語をキャラクターにしゃべらせたい! 歌わせたい! というリクエストがくることもあります。
キャラクターの性格や、文法までイメージしながら架空の言語を作っていくのは、難しいながらも挑戦しがいのある面白い仕事です。

Nintendo Switchソフト
『スプラトゥーン2』より「テンタクルズの会話」

音楽的な効果音

音楽のようにリズム・メロディー・ハーモニーで構成された、短いジングルのような効果音をME(Musical Effect)と呼びます。
アイテムを取る、パワーアップする、残りのプレイヤーが増える、といった遊びのハイライトとなる状況には、抽象的な表現が有効です。
「プレイヤーがアイテムをつかんだ」という動作を示すよりも「アイテムをゲットして、プレイヤーが有利になった」という状況の変化を示した方が良い、ということです。

ゼルダ 謎解き

ゼルダの伝説シリーズより

OneUp

スーパーマリオブラザーズシリーズより

この場合、音を聴いたユーザーが「やったー!」「えー!!」と即座に心情で反応できる表現が、最も伝えるスピードの速い合理的なものといえます。
そこで、心情に訴えやすい抽象的な表現として音楽的な効果音(ME)を選択します。
MEは数音のごく短いものでもユーザーにさまざまな印象を伝えることができる、とても奥の深い表現手段です。

こんな仕事もあります!音声収録

プロの声優さんを招いての音声収録の際、サウンドスタッフが収録現場でのスタジオディレクターやオペレーターなどを務めることもしばしばあります。
スタジオディレクターには、求めるイメージを声優さんに的確に伝える力と、その場でOKテイクを判断する力が必要になります。
オペレーターには、収録を円滑に進めるためにスタジオの録音機材を的確に扱うスキルが必要となります。

その他、サウンドスタッフは事前の台本や資料の準備にも協力したり、収録後の膨大な録音データの編集・管理も行ったりします。
任天堂のゲームタイトルには海外言語に対応しているものも多く、音声収録ではさまざまな国や地方の文化・言語に触れることもできるので、とても刺激になる仕事です。