任天堂の電気電子技術者は、ゲーム体験を支えるハードウェアの中核を担います。新しい技術調査からカスタムIC開発、回路設計・基板設計、ファームウェア開発、評価検証・量産対応まで、幅広い技術領域を手がけています。SoC、ASIC、メモリといった半導体から、ディスプレイ、電源回路、充電池、無線通信、各種センサーまで、「新しい遊び」を実現するためのさまざまな要素技術を扱います。

任天堂は、既存技術の活用だけでなく、まったく新しい技術も積極的に調査しています。国内外のイベント参加や情報収集を通じて魅力的な技術を見つけたら、ゲームソフト開発者と協力して技術デモを作成し、「新しい遊び」の可能性を検討します。

今までにない新しい体験を現実的な技術で実現させるためには、知的好奇心と幅広い視点で世界に目を向け、長期的に取り組む姿勢が求められます。さまざまな分野の技術を理解し、多くの引き出しの中から最適な答えを導き出すことが、この仕事の役割です。

任天堂のゲーム機が求める電力あたりの性能や機能を満たすICが世の中にない場合、カスタムでSoCやASICを開発します。任天堂でシステム設計を主導し、グローバルなSoCメーカーと協業してSoCを開発します。ASICは、任天堂でフロントエンド設計を進めた後、パートナー企業と連携してバックエンド設計を行い、試作したASICの動作検証を行います。

カスタムIC開発では、SoCメーカーやパートナー企業と密に連携し、仕様やアーキテクチャを決定します。ハードウェアとソフトウェアの両方の幅広い知識を持つことが、ゲーム機に最適なシステムを開発するうえで重要となります。

回路設計・基板設計は、デジタル回路としての機能だけでなく、アナログ回路の特性や動作も理解することが求められます。回路図を正確に読み解き、各部品の仕様を把握し、機構や筐体、熱設計も考慮して設計を行います。さらに、信号品質や電源品質を確保し、EMC基準を満たす設計が必要です。

回路設計・基板設計を任天堂社内で行い、設計ノウハウを社内に蓄積し、手戻りのない開発を目指しています。回路、基板、機構など複数の担当者と協業し、最適な設計を実現します。また、回路評価や検証のためにソフトウェア開発スキルも求められます。無線アンテナや電源回路の設計・評価も行います。

ファームウェア開発は、ハードウェアを直接制御して、その機能を実現するためのソフトウェアを開発する仕事です。加えて、ハードウェア評価・検査ソフトウェアも開発します。

ハードウェアを深く理解し、ゲーム機の性能を最大限に引き出すためのソフトウェアを開発します。ファームウェアを最適に動作させるため、回路図やハードウェアの仕様書を理解し、回路図の最適化を提案することもあります。

お客様の期待に応える品質を確保するため、搭載する部品の特性や製品全体の設計を考慮しながら、さまざまな角度から設計の妥当性や有効性を評価検証していきます。

製品評価検証で発見した問題を分析し、最適な形で製品設計や製造工程設計にフィードバックすることで、商品の安定生産、大量生産を実現しています。

任天堂ハードウェア製品は多種多様な電子技術に支えられて実現しています。必要な技術を身につけると共に、その技術を常に最新に保つことが重要です。そして、世界中のお客様の期待に応えられるよう、責任感とやりがいをもって主体的に取り組む姿勢が求められます。