職種紹介

特集Nintendo Switchの開発工程

任天堂ではたらくハードウェアエンジニアの仕事をより深く理解いただくため、Nintendo Switchの企画から製造までの一連の流れをご紹介いたします。

企画段階

製品コンセプトを元に行ったハードウェア仕様の初期検討

Nintendo Switchの開発では、「しっかりしたゲームが遊べる」「子供に安心して渡せる」「みんなでわいわい遊べる」の3つを、必要な条件として位置付けました。
また、これらを「持ち出せる据置機」で実現するという前提条件もありました。

※「子供に安心して渡せる」について、スマホアプリ『Nintendo みまもり Switch』でできる限り親御さんが安心してお子さんに渡せるような仕組みをソフトウェアで準備することになりました。

家ではじっくり遊べて、そのまま簡単に外に持って行ける、そしてみんなで楽しく遊べるゲーム機とはどのようなものか想像しながら、必要な要素を洗い出し、仕様検討を行いました。
機能が実現できるかだけでなく、お客様の利便性にも考慮し、本体に搭載すべき機能、周辺機器で実現する機能などについても社内で意見を聞きながら、整理を行いました。

「持ち出せる据置機」という前提を念頭におきながら、「しっかりしたゲームが遊べる」「みんなでわいわい遊べる」を実現するために、「取り外しのできるコントローラー」「ドックイン/ドックアウト」という要素を抽出し、具体的な仕様検討をスタートすることにしました。

仕様提案と技術調査

「持ち出せる据置機」

「外に持ち出すにはサイズは小さいほうがいい」「なるべく大きい画面でゲームがしたい」「高性能なゲーム機にしたい」といったすべての要望を満足させるのは困難でした。高性能になるにつれて消費電力が増加し、ゲーム機本体が熱を持ってしまいます。熱を逃がすためには本体を大きくする必要がありますが、本体を大きくすると外に持ち出すときに邪魔になって結局外に持って行ってもらえないのではないか?と板挟みの状態でした。性能⇔本体サイズの相反する問題の中、従来の携帯型ゲーム機では採用していない冷却構造を採用することで、現在のNintendo Switchの性能とサイズが決定しました。

「取り外しのできるコントローラー」

本体からコントローラーを「取り外し・取り付ける」という構造を検討する際に、いろいろなアイデアを出し合いました。
冗談のようなアイデアも多く出ましたが、せっかく出てきたアイデアを否定すると何も始まらないため、アイデアのひとつひとつの実現性を検証しました。何種類かの構造に絞り込んだところで社内提案を行い、「快適に取り付け・取り外しをしたい」という要望もあったことから、今のレール構造に決定しました。

「ドックイン/ドックアウト」

携帯モードからTVモードに手軽に切り替わる「ドックイン/ドックアウト」を実現するために、Nintendo Switch本体とドックという構成で設計/検討を進めましたが、その本体とドックの接続方法も難しい要素のひとつでした。映像信号やUSBといった高速信号と、TVモード時にも安定して動作可能な電源供給を本体とドック間で行う必要がありますが、安定して動作させるためにそれぞれ独立したコネクターを設けると、ドックイン/ドックアウト時のシームレスさが失われてしまうということになります。また、電源供給に関しては、TVモードだけでなく、携帯モード時の電源供給も考慮して検討する必要がありました。
それらを解決するため、担当者で技術調査を行っていた、当時はまだ新しかったUSB Type-C™コネクターを用いることを提案し、実現することができました。

※USB Type-C™ は USB Implementers Forum の登録商標です。

デザイン案の検討

今までのゲーム機にはない、Nintendo Switchらしい形状や使用方法はどのようなものか、一軒家のスタジオや電車や公園など、いろいろな空間でのブレインストーミングやユースケース検証を行い、幅広くアイデア出しを行いました。

その後、たくさんのレンダリングやモックを作成し、再度ユースケース検証を行うということを繰り返しました。
ほかにも動画を制作することで、Nintendo Switchらしい動線や配色の見せ方を整理したり、セットアップの手順なども一緒に確認したりしました。
イメージ写真も早い段階から検討を重ね、社内の開発メンバーがプロダクトのイメージを共有しやすいようにしました。

一方で、アイデアを自由に広げつつも、早い段階から材料の共用化やコストを意識することで、最終的にイメージとかけ離れたものにならないよう留意しながら、デザイン案の検討を行いました。

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